うつを改善するための食事とは?
当ブログではうつ病の予防と、うつの症状を食事と栄養(主に腸内フローラ・腸内環境改善と糖質制限)、運動と瞑想で治すための方法について書いています(あくまでうつの症状をやわらげるためのひとつの手段です)。
今回はうつを改善するための食事について簡単にまとめてみたいと思います。
うつの症状を少しでもやわらげていくための食事として、大切になってくるのは、以下の3つです。
- 腸内フローラの改善・・・日頃から乳酸菌・食物繊維・オリゴ糖がたっぷりの食事をする。
- ゆるやかな糖質制限・・・なるべく砂糖や精製デンプンを減らし、代わりに食物繊維を増やす。
- 油の摂り方・・・サラダ油に含まれるリノール酸を減らし、代わりにDHA・EPAを増やす。
1、腸内フローラの改善
うつの症状をやわらげていくためには、日頃の食事で腸内フローラのバランスを整え、腸内環境を改善していくことが大切です。
なぜなら「脳腸相関」や「腸脳相関」といった言葉が示すように、腸と脳は神経系でつながっているからです。また心の起源は脳ではなく腸にあります。
そのため、毎日の食生活において、乳酸菌・食物繊維・オリゴ糖・発酵食など、腸内細菌にとって良い働きをする食品を積極的に摂っていくことが重要になってきます。
生きた乳酸菌やビフィズス菌など体に良い働きをする有用菌が含まれている食品のことは「プロバイオティクス」と呼ばれ、難消化性の食物繊維やオリゴ糖といった腸内細菌のエサになる栄養成分が含まれた食品は「プレバイオティクス」と呼ばれています。
これらの食品は腸内環境を正常な酸性に保ったり、腸内細菌のうちの善玉菌を増やしたりするのに効果を発揮してくれます。
また日本は発酵文化が盛んであるため、納豆や漬け物などの伝統的な発酵食品を積極的に食べるようにすることも、腸を元気にするのに役立ちます。
もし、一人暮らしや忙しさが原因でなかなか腸に良い食生活が送れないという場合は、普段の食事の補助として、16種類の乳酸菌が配合されている乳酸菌革命 などのサプリメントを摂るようにすることも、腸内フローラの改善のサポートに効果的です。
2、ゆるやかな糖質制限
次に、うつの症状をやわらげるためには、「糖質制限」も重要になってきます。しかし糖質制限で重要なのは極端に炭水化物を減らすのではなく、自分の出来る範囲でゆるやかに行っていくことです。
また砂糖や精製デンプン、果糖ブドウ糖液糖といった血糖値を急激に上げる糖質(高GI値)を減らしていくことが大切になってきます。
それらの糖質は血糖値を乱高下させ、不安定にさせ、低血糖の問題も引き起こしてしまいます。そしてこの血糖値が安定しない状態は精神的な不安定さとも深く関わってきます。
さらに糖質の摂り過ぎは、脳の炎症を引き起こす原因にもなるといいます。
したがって、うつの症状を少しでもやわらげていくために重要になってくるのは、普段の食事から白砂糖をはじめとした高GI値の糖質をなるべく減らしていくことです。
しかし、だからといって糖質や炭水化物の全てを減らしてはいけません。なぜならブドウ糖は脳のエネルギー源としてゆるやかに供給されなければいけませんし、糖質や炭水化物には、オリゴ糖や食物繊維といった、腸内細菌の食べ物になる栄養素も含まれているからです。
つまり、ストイックな糖質制限を行ってしまうと、腸内細菌に食べ物が行き届かず、腸内環境の悪化につながってしまう恐れがでてくるのです。
ちなみにストレスを感じた時にどうしても甘い物がやめられないという方は、砂糖の代わりにオリゴ糖やココナッツシュガーを使ってみることをオススメします。
そのほか、仕事は日中に行っているため、夜はからだをあまり動かさない方は、夕食は糖質をなるべく控えたり、夜食に糖質が多い食品を食べるのをやめたりするなどの工夫も、ゆるやかな糖質制限のためには必要になってきます。
3、油の摂り方
3つ目は油の摂り方についてです。
実は脳の約6割は脂肪で出来ており、さらにその4割はDHAによって形成されていると言われているため、油の摂り方を変えることは、脳の神経細胞の健康を維持することにもつながっていきます。
それに加えて、脂質は脳の細胞膜の形成にも非常に大切な役割を果たしています。そのため、質の良い油を摂ることは、脳機能の改善にもつながっていきます。
ちなみに油と言っても、油を構成する脂質には様々な種類のものがあります。しかしうつの症状を改善していくために、最も重要だとされているのは、「オメガ3(DHA・EPA・α‐リノレン酸)脂肪酸」と呼ばれるものです。
特にそのうちの「DHA」は、脳の健康のために非常に重要な働きをしていますので、日頃から不足しないようにすることが大切になってきます。
また、DHAを含むオメガ3脂肪酸には脳の炎症を抑える働きがあるとされていることも、注目に値します。
一方、ファーストフードや加工食品、お菓子やマヨネーズやドレッシングなどに含まれているサラダ油のリノール酸やトランス脂肪酸は、なるべく減らしていったほうがよい脂質です。
このうちリノール酸は、オメガ6の脂肪酸であり、体内では作られない必須脂肪酸であるとされていますが、近年は加工食品などから知らない間にたくさん体内に入ってきていることが問題になってきています。このリノール酸の過剰摂取はアトピー性皮膚炎などアレルギー症状や体内の炎症を引き起こしたりするとされています。
一方、水素添加によって作られたトランス脂肪酸は、プラスチックのような油だとされており、いつまでも体内に居残り続ける性質が、脳の機能障害を引き起こすと懸念されています。
ここまで油の摂り方について書いてきましたが、うつを改善していくための油の摂り方のポイントは、オメガ6のリノール酸やトランス脂肪酸を減らし、代わりに青魚に多く含まれているオメガ3脂肪酸(DHA・EPA・α‐リノレン酸)をバランスよく摂るようにするということです。
しかしオメガ3脂肪酸は食事から十分な量を摂るのはなかなか難しいと考えられます。そのため、オメガ3脂肪酸の不足を解消するためには、【DHA&EPA+サチャインチ】 などのサプリメントや亜麻仁油・えごま油を利用してみると良いかもしれません。
またオメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸とは違った「飽和脂肪酸」を多く含むココナッツオイルは、糖質制限をしている間の糖質代わりのエネルギー源として有効であるように思います。
以上、うつを改善するための食事について簡単にまとめてみましたが、今回ご紹介した3つのポイント以外にも、普段の食事において、肉だけではなく野菜を多く食べるようにし、食生活のバランスを整えることで、ビタミンB群やビタミンC、ミネラル、アミノ酸などの栄養素も不足しないようにすることが大切になってきます。
うつの改善にスロージョギングが効果的である理由
当ブログではうつ病の予防と、うつの症状を食事と栄養(主に腸内フローラ・腸内環境改善と糖質制限)、運動と瞑想で治すための方法について書いています(あくまでうつの症状をやわらげるためのひとつの手段です)。
今回はうつの改善に効果的な運動として、スロージョギングを紹介したいと思います。
「スロージョギング」とはその名の通り、普通のジョギングよりもゆっくりと走るジョギングのことです。このスロージョギングには、競争しようとして無理にペースを上げる必要は無く、笑顔を保てるくらいの自分のペースで行えるという利点があります。
自分のペースで行える「スロージョギング」。
激しい運動ではなく、適度な有酸素運動は、うつの症状を改善するのに効果を発揮するといわれていますが、このスロージョギングの、焦る必要がなくマイペースでOK!だという点が、うつを改善するための運動として、他の運動よりもオススメできる理由なのです。
うつ病は、重症化してしまうと治療しにくく、治療に長い時間が必要となる病気です。ふだんから心と体のメンテナンスを行いうつを防ぐこと、あるいはうつ病にかかっているなら早めに治療することが重要であるといえます。
そして、うつ病の予防や治療にはスロージョギングのような習慣な運動が有効であることがわかっています。うつ病患者に定期的な運動療法を行うことで、抗うつ剤の投与量を減らすことができた、あるいはうつ病が治ったという報告は非常にたくさんあります。(久保田競 田中宏暁『仕事に効く、脳を鍛える、スロージョギング』 角川グループパブリッシング p48~49)
そのスロージョギングを行う際のポイントは以下の通りです。また具体的な行い方については動画を参考になさってください。
スロージョギングのポイント
- 走る距離やスピードより、大切なのは「にこにこペース」
- はじめの目標は1日15分
- 足の指の付け根で着地する「フォアフット・ランニング」
- 2本のレールの上を走るイメージで
- あごをひくのではなく〝あごをあげて〟走る
- 呼吸は自然にゆったりと
- 走り終わったらストレッチ(久保田競 田中宏暁『仕事に効く、脳を鍛える、スロージョギング』より)
スロージョギングはストレス対策としても有効
またうつの症状が起きてくる原因のひとつとして、職場や学校の人間関係などによるストレスがありますが、スロージョギングは、
- 「ストレスを忘れるための運動」
- 「ストレスを快楽刺激にするための運動」
であるため、ストレス対策としても有効だといいます。
スロージョギングは前頭前野や運動野などを大いに刺激するほかに、ふだん使わない部分の脳をさかんに使用することで、使用している部位を休めることができます。また、これまでにも述べているように、走ることで脳の各部位が発達することに加えて、有酸素運動を行うとBDNFなどの脳細胞を増殖し、保護する物質が放出されます。(久保田競 田中宏暁『仕事に効く、脳を鍛える、スロージョギング』 角川グループパブリッシング p162)
これらの物質は傷つけられた神経細胞を保護するとともに、増殖させ、あるいはコルチゾールで短くなったシナプスを再度伸ばす働きを持っています。つまり、ストレスで傷ついた脳が副交感神経の活性化で回復するのを大いに助けてくれるのです。(久保田競 田中宏暁『仕事に効く、脳を鍛える、スロージョギング』 角川グループパブリッシング p162~163)
不眠症対策としても効果的なスロージョギング
さらにうつの症状は不眠とも深く関係していますが、スロージョギングは自律神経の交感神経と副交感神経のバランスを整える働きがあることから、不眠症対策としても効果を発揮するといいます。
(略)体に負担の小さいにこにこペースのスロージョギングは、有酸素運動効果で脳を鍛え、血の巡りを良くしてさまざまな病気を防ぎ、そして眠りやすい環境を作って不眠を改善できる、うつ病の予防手段として優秀な運動だといえるでしょう。ただし、うつ病の人が自分から走り出すことはありません。誰かが一緒に走ってあげる必要があります。(久保田競 田中宏暁『仕事に効く、脳を鍛える、スロージョギング』 角川グループパブリッシング p118~119)
以上、うつの改善にスロージョギングが効果的である理由について述べてきましたが、スロージョギングを日頃から行うことは、重いうつ病を患うのを予防したり、うつの症状をやわらげたりするために有効だと思われますので、ぜひスロージョギングをうつ対策の運動として、日々の生活に採り入れてみてください。
うつの改善に食事・運動・瞑想が大切である理由
当ブログではうつ病予防と、うつの症状を食事と栄養(主に腸内フローラ・腸内環境改善と糖質制限)で治すための方法について書いています(あくまでうつの症状をやわらげるためのひとつの手段です)。
今回はうつの改善に食事・運動・瞑想が大切である理由について書いていきたいと思います。
これまではうつの症状を少しでもやわらげるための方法として、腸内フローラの改善と、糖質制限、油の摂り方などを取りあげてきました。
しかし、うつを改善していくためには、食事を変えるだけではなく、運動や瞑想を行うことも必要になってくると、私自身は感じています。
以下、運動と瞑想が必要な理由について述べていきたいと思います。
うつの症状をやわらげるためには食事・運動・瞑想の三つが大切になってきます。
運動がうつを改善する理由
運動を行うことは心と身体や、自律神経のバランスを整えるために必要不可欠です。
適度な運動は身体と心に様々な良い効果を与えてくれることはよく知られています。実際、運動をほとんど行わない毎日を過ごしていると、脳の同じ部位だけを使うようになり、心身のバランスは崩れていってしまいますが、ジョギングなどの運動を無理しない程度に行うことは、脳の様々な部位を刺激し、認知機能を改善することにつながっていきます。
特にうつの症状は脳の炎症と深く関係していると考えられますが、運動には体内で起こっている炎症を抑える働きがあるとされています。
とはいっても、うつの状態にあるときは、エネルギー不足も関係しているため、運動をしようという気がなかなか起きないものです。
そのため、無理に激しい運動や長時間の運動を行う必要は無く、ウォーキングやスロージョギングなどの有酸素運動を1日に20~30分程度マイペースで行うだけで十分です。
からだを動かすのがどうしても億劫な場合は、ヨガや気功など、家の中でもできる、ゆっくりとした運動を行うのが効果的です。
また、慢性的な運動不足や、長時間のデスクワークは、ストレスを溜め込むだけではなく、腸内環境を悪化させたり、便秘の原因になったりするので、注意が必要です。
うつ病には運動療法が効果があるという報告があります。どのような仕組みでうつ病が改善されるかはまだはっきりとはわかっていませんが、うつ病と診断された患者に運動療法を行うことで抗うつ薬の投与量を減らすことができたという報告もあります。
また、運動によって、脳由来神経栄養因子(BDNF)が抗うつ剤を投与するよりも増加したという報告もあり、精神科の医師の中には患者と一緒に走ることでうつ病を治療する、いわば「ジョギングセラピー」を実践している人もいます。(久保田競 田中宏暁『仕事に効く、脳を鍛える、スロージョギング』 角川グループパブリッシング p118)
運動が脳の健康にいいと言われるのは、単に運動が脳への血流を促進して、細胞の成長と維持のための栄養を届けてくれることだけではない。最新の科学によると、こんな五つのメリットがある。
- 炎症を抑える
- インスリン感受性を高める
- 血糖コントロールを改善する
- 記憶中枢を大きくする
- BDNFの量を増やす
(デイヴィッド・パールマター/クリスティン・ロバーグ『「いつものパン」があなたを殺す』白澤卓二訳 p273)
瞑想がうつを改善する理由
普段から習慣として瞑想を行うことは、心のトレーニングとして最適です。
しかしここでいう瞑想とは、特定の宗教を信じることとは一切関係なく、心が現在の瞬間を感じるよう、トレーニングすることです。
具体的には、ストレスを感じてイライラしたり、過去の嫌な出来事を思い出し、気持ちが沈みこんだり、これからのことを想像して不安になったりしたら、思考が過去や未来へ向かっているのを一旦ストップして、意識を現在に戻してあげることです。
このことはすなわち、頭のなかの様々な雑念に囚われすぎないように、心の状態をニュートラルにするということです。
日常生活のなかでは、何かの思いがけない出来事によって、私たちの頭のなかが一つの考え方に支配されてしまうのは当然ですが、その時は私たちの意識は現在の瞬間から遠ざかってしまっています。
もちろん、その遠ざかった状態から現在の瞬間に意識を戻すために、いきなり頭の中を空っぽにするというのは難しいですし、頭のなかを空っぽにして、しばらく目の前の風景を眺めていても、気がつくと、(イヤなことが起こった時は特に)過去に起きた出来事に想いを巡らせてしまっているのが普通です。
ところが、瞑想のトレーニングを毎日行うと、少しずつ、過去に引きずられる時間が短くなり、代わりに現在の瞬間に意識が向くようになります。
そして、次第に環境に振り回されず、気持ちを安定させることが出来るようになってきます。もちろん、このことに個人差はありますが、それでも瞑想を始めてみることは、自分の心を成長させるためのトレーニングとして有効です。
瞑想をすると、感情に振り回されず、人にも自分にも優しくなれます。
思考や感情を取捨選択できるようになるので、外側の物や人間関係などもより心地いいものに整えたくなります。
それにより、不要になったモノや人間関係を手放し、よりシンプルに、より自分らしく生きられるようになるのです。
さらに瞑想を続けると、今やっていることに喜びを感じやすくなります。すべての日常体験の充実感が増し、幸福度も高まります。そうして満たされた状態が内面から輝く美しさや、魅力になるかもしれません。(吉田昌生『1分間瞑想法』p20)
瞑想の効果
- 血圧を下げる
- 急性および慢性の痛みをやわらげる
- 筋肉の反射時間が速くなる
- 横隔膜と内臓をリラックスさせる
- 呼吸の効率がよくなり、肺機能が増進する
- 不安やストレスを減少させる
- 強迫的な行動パターンを認識する力が増す
(ビクター・ダヴィッチ『瞑想トレーニングで人生が変わる』牧野・M・美枝 訳 p35)
ここまでうつの改善のために運動・瞑想が大切である理由について書いてきましたが、運動と瞑想は食事と組み合わせることでより効果を発揮します。
腸が心の起源である理由‐『腸脳力』
当ブログではうつ病予防と、うつの症状を食事と栄養(主に腸内フローラ・腸内環境改善と糖質制限)で治すための方法について書いています(あくまでうつの症状をやわらげるためのひとつの手段です)。
今回は腸が心の起源である理由について、長沼敬憲氏の『腸脳力』を取りあげながら考えてみたいと思います。
そして、そのことがうつの症状を少しでも改善することにつながれば、と思います。
近年、腸は心と深い関係にあるとして、注目されるようになりましたが、そもそも日本人は「腹が立つ」「腹黒い」「腹のうちを探る」など、感情を表現する際に、「腹」という言葉を使ってきました。
このことは日本人は昔から己のうちに芽生えた感情を内臓の感覚から読み取っていた証拠であるように思いますが、「心」という、簡単に定義できず、目に見えないものも、「腹」「腸」「内臓」といった存在と無縁ではありません。
しかし近年は、からだをあまり使わず、仕事や勉強が頭ばかりを使うパソコンやデスクワークによって行われる社会へと変化してきたせいか、だんだん「心」が位置するのも「腹」ではなく「頭」のほうへシフトしてきたように感じます。
このあたりのことに関して、『腸脳力』の著者である長沼敬憲氏は、「私たちは腸から生まれた。脳は決して「根源」ではない」と述べています。また、
生物の系統発生から言うと、心臓と肺は魚の呼吸器官である「鰓」に起源を持っているといいます。そして、この鰓は腸から分化したものです。
進化の系統樹をたどっていくと、私たち人間の直接の祖先にあたる初期の脊椎動物は、口から肛門へと続く一本の消化管、つまり腸だけで成り立っていたことがわかります。この段階ではまだ脳はありません。
腸から心臓や肺のような内臓臓器が生まれ、腸壁の神経と体壁の神経が束ねられるようにして脳が生まれたと考えられています。
心臓に心があるというなら、当然、その根源である腸にも心がある、すなわち「腸が心の起源である」ということになってきます。(長沼敬憲『腸脳力』p129)
と、しています。
さらに、
「まず自分が生物であること、その生物が腸を母体にして生きていること」
「考えることの母体は脳に、感じることの母体は腸にある」
と述べ、「考える前にまず感じてみよう。感じたら、そのまま素直に動いてみよう。―こうした生き方にシフトしていくことが、目の前の閉塞感を突き破り、より大きな力を手に入れるきっかけにもなるでしょう」としています。
心と体の ↓ シフトチェンジ
(長沼敬憲『腸脳力』p9を参考に作成)
すなわち、心を元気にするために大切なのは、「頭」ばかりではなく、「腸」をしっかりと健康にすることで、土台を安定させ、そのことによって、こころとからだのバランスを整えていくことなのです。
うつの症状を少しでもやわらげていくことに関して言えば、「頭」だけで考えず、「身体感覚」に根差した生き方を目指してみることが、必要になってくるように思います。
イノシトールの心の病をやわらげる効果とは?
当ブログではうつ病予防と、うつの症状を食事と栄養(主に腸内フローラ・腸内環境改善と糖質制限)で治すための方法について書いています(あくまでうつの症状をやわらげるためのひとつの手段です)。
今回はビタミン様物質の一種、「イノシトール」の心の病をやわらげる効果についてです。
「イノシトール」という栄養素はあまり聞いたことがないかもしれませんが、イノシトールは水溶性で穀物や果物などの食品に多く含まれており、脂肪肝や動脈硬化の予防や神経細胞の働きを助ける作用など、幅広い働きをもっているとされています。
そして、この「イノシトール」は強迫性障害やパニック障害といった心の病に対して良い働きをしてくれるといいます。
そのことが、生田哲氏の『心の病は食事で治す』のなかに書いてあったので、引用してみたいと思います。
イノシトールは、セロトニンとアセチルコリンの適切なはたらきに欠かせない。不足するとうつ病を引き起こす。それからイノシトールは、強迫性障害やパニック障害を止める効果があることが知られている。
強迫性障害は、馬鹿馬鹿しいと自分でわかっているのだが、あまり意味のないことにこだわる心の病である。そしてパニック障害は、ある日、突然、強いめまい、動悸、不快感などに襲われる発作を指す。
薬と異なり、イノシトールは水溶性ビタミンであるため、副作用は見られない。(生田哲『心の病は食事で治す』p60)
不安障害を撃退するもう一つのB群は、長い間、目立たない存在であったイノシトールである。ごく最近までイノシトールの欠乏症は不明だった。しかし一九八〇年代にプリンストン脳研究所は、イノシトールに抗不安薬のリブリウムとよく似た鎮静効果があることを発表した。
(中略)
セロトニンの効果をコントロールするイノシトールは、強迫性障害だけでなく、パニック障害の治療にも利用され、それ自体が不安を鎮める抑制性伝達物質であることが証明された。(生田哲『心の病は食事で治す』p160~161)
このようにイノシトールは不安を鎮める働きがあり、強迫性障害やパニック障害といった心の病に対して有効であるといいます。
もちろん、イノシトールを摂れば、それだけで心の病が治るというわけではないと思いますが、心の病を改善に向かわせるためのサポートとして、イノシトールが不足しないよう心がけることは大切であるように感じます。
もしイノシトールを食品から多く摂りたいのであれば、以前の記事で紹介した玄米リブレフラワーやココナッツシュガーに豊富に含まれていますので、関心がある方は試してみてください(100g中、220~230mg)。
玄米リブレフラワーにはイノシトールが豊富に含まれています。
ココナッツシュガーにもイノシトールがたくさん含まれています。
玄米リブレフラワーがうつの改善におすすめな理由
当ブログではうつ病予防と、うつの症状を食事と栄養(主に腸内フローラ・腸内環境改善と糖質制限)で治すための方法について書いています(あくまでうつの症状をやわらげるためのひとつの手段です)。
今回は日頃の栄養不足を補うために、玄米リブレフラワーという食品を紹介したいと思います。
当ブログでは、ビタミンB群や、鉄や亜鉛といったミネラルが、うつの症状をやわらげるために必要だと述べてきましたが、玄米にはそのビタミンB群やミネラルが豊富に含まれています。
また、玄米は腸内フローラを改善するのに有効な食材だと考えられます。なぜなら玄米には食物繊維が白米よりも多く含まれているからです。
特に玄米の不溶性の食物繊維には、便の構成要素となり、便量を増やす腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にして、消化物を速やかに移動させたり、発がん物質、有害菌、有害物質を吸着して、便として排泄したりする働きがあります。
つまり、便秘の予防・改善のために食物繊維は非常に有効なのです。また、もし便秘が長引いてしまうと、万病の原因にもなりますし、腸内フローラも悪玉菌が優勢になってしまいます。
しかし、玄米は食べにくいし、きちんと炊くのが面倒だと感じられる方も多いかと思われます。
それに加えて、玄米を白米のように炊いて食べることには、多少の問題があります。
たとえば玄米に含まれている「アブシジン酸(ABA)」は細胞内のミトコンドリアの毒になるため、玄米を食べる時はこのアブシジン酸を無毒化して食べる必要があると言われています。
酵素栄養学の第一人者である鶴見隆史氏は、このアブシジン酸(ABA)を取り除く方法として、三つを挙げています。
- 12時間以上の浸水
- 遠赤焙煎(ロースト)かフライパンの空炒り
- 発酵(参考 鶴見隆史『「酵素」の謎』)
玄米リブレフラワーは玄米の短所を克服
ところが、遠赤焙煎によって作られた玄米リブレフラワーであれば、玄米のアブシジン酸の問題が見事に解消されているため、優れた栄養食として、玄米を毎日の食生活に簡単に採り入れることが可能です。
また、玄米に多く含まれるフィチン酸も、排毒作用が強いため、体内の必要なミネラルまでも、一緒に排出してしまうと懸念されていますが、玄米リブレフラワーであれば、そのフィチン酸のミネラル阻害についても心配する必要はないといいます(参考 鶴見隆史 『現代版 食物養生法』)。
そのため、日頃の食生活において、手軽に栄養を補給するために、玄米リブレフラワーはおすすめなわけですが、その玄米リブレフラワーとは、独自製法で高温焙煎し、25ミクロンに微粉末化した玄米のことです。
この玄米リブレフラワーのメリットと効用について、酵素栄養学の第一人者として知られている鶴見隆史氏は以下を挙げています。
- エネルギーの大幅なアップ
- ファイトケミカル(フェルラ酸他)が多く出現し抗酸化力を強く持つ
- フリーラジカルスカベンジャー効果を持つ
- その穀物の持つ薬効効果の増大
- 栄養素(ミネラル、ビタミン)の活性化(天日干しの効果)
- 毒素の腸内吸着素としての働き
- 食べ方の簡便さ
- 栄養の吸収率の増大
- ビタミンEとしての作用
- さまざまな応用の可能
- 免疫力の増大作用
(鶴見隆史 『現代版 食物養生法』 p229)
玄米リブレフラワーの効用
- きわめて酸化しにくい
- すべての栄養素に破壊がない
- デンプンがアルファ化(α化)している
- きわめて消化吸収がいい
- 強烈な毒素排泄効果
- 栄養素(特にミネラル、ビタミン)の活性化
- 完全に(一〇〇%)無農薬化している
- 食べ方が自由自在
- 他の素材と組み合わせるとその欠点が回避される
- 低カロリー食品である
- ダイオキシン・環境ホルモンの排出作用として一役
(鶴見隆史 『現代版 食物養生法』より)
リブレフラワーは、生きた栄養素の塊りです。ここに存在しない栄養素は、ビタミンA、C、Dくらいで、繊維素はもとより、その他のほとんどすべての栄養素が満ちあふれています。
玄米の粒でも当然、同様の栄養素は存在するのですが、どのように炊いても、いくら噛んでも消化吸収しにくいというのに反し、リブレは粉(二十五ミクロン)であるが故に、きわめて消化吸収しやすいという大きなメリットがあります。栄養補給という面では最高の食品ということがいえます。(鶴見隆史『現代版 食物養生法』p262~263)
さらに、逆に毒素排泄をねらいたい人(たとえば、高血圧や肥満、高脂血症、糖尿病、その他)にも勧められます。
その理由は、多孔質の内容の繊維素が腸内で毒素吸着物質となって大量の良い糞便を形成するからです。良質な糞便とは、悪臭や腐敗臭の少ない、太くて長い茶褐色の形の、しっかりとした便のことであり、このような便が大量に出たときの体調はきわめて良好です。(鶴見隆史『現代版 食物養生法』p263)
特に玄米リブレフラワーは腸内の毒素を排出するデトックス効果が強いとされているため、玄米リブレフラワーを日頃の食生活に採り入れることは腸内環境の改善や腸のお掃除などにつながっていきます。
もし腸内環境がお掃除されれば、その分、血液もキレイになっていきます。
また、栄養吸収率が高く、ビタミンB群やビタミンE、マグネシウム、鉄などのミネラルだけではなく、フェルラ酸、γ(ガンマ)‐オリザノール、フィチン酸など、活性酸素による細胞の老化を防ぐ抗酸化物質も豊富です。
そのほか、ビタミン様物質で不安障害などの心の病に対して効果を発揮するとされる「イノシトール」も、玄米リブレフラワーにはたくさん含まれています。
そのため、体調不良や病中病後、食欲がない時に、食養生や栄養補助として、この玄米リブレフラワーをお湯に溶かして飲むのもオススメです。
ちなみに玄米リブレフラワーはAmazonでも購入できます。
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ココナッツオイルのうつを改善する効果とは?
当ブログではうつ病予防と、うつの症状を食事と栄養(主に腸内フローラ・腸内環境改善と糖質制限)で治すための方法について書いています(あくまでうつの症状をやわらげるためのひとつの手段です)。
今回はココナッツオイルのうつを改善する効果についてです。
当ブログではうつの症状をやわらげるために油(脂質)の摂り方について何回か記事を書いてきました。そして、少しでもうつを改善していくためには、DHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸をバランスよく摂るようにすることが大切だと述べてきました。
では、ここ数年の間に人気の食材となった「ココナッツオイル」には、うつを改善する効果があるのでしょうか?
ココナッツオイルはうつを改善する効果がある?
ココナッツオイルはアルツハイマー病を改善することでは有名ですが、残念ながら今のところ、ココナッツオイルがうつ病を改善するという、エビデンスがしっかりとした研究はあまり見当たりません。
しかし、ココナッツオイルは、毎日の生活にうまく採り入れることで、うつの症状をやわらげる手助けはしてくれると私自身は思います。
それはなぜでしょうか?
その理由としてはまず、ココナッツオイルには飽和脂肪酸の一つである「中鎖脂肪酸(MCT)」が多く含まれていることが挙げられます。
「飽和脂肪酸」とは牛脂やラード、バターなどの動物性の脂質に豊富に含まれている脂肪酸です。
この「飽和脂肪酸」は糖質から体内で合成されるという性質もあるため、「不飽和脂肪酸」のように、必ず食事から補わなければならない必須脂肪酸ではありません。
また、加工食品や乳製品などにも飽和脂肪酸は含まれているため、普段の生活で不足することはほとんどないとされています。
しかし飽和脂肪酸には、エネルギーになったり、細胞膜を構成したりするという重要な働きがあることには注意が必要です。
ちなみに、飽和脂肪酸を多く含む脂肪は融点が高いため、常温でも固体であることが多いという特徴があります(ココナッツオイルも基本的に常温だと固まっています)。
一方、亜麻仁油やオリーブオイル、サラダ油などは、不飽和脂肪酸が多く含まれているため、常温では液状です。
さらに、この飽和脂肪酸は連なっている炭素の数によって、短鎖脂肪酸・中鎖脂肪酸・長鎖脂肪酸の3つに分類されています。
ココナッツオイルの中鎖脂肪酸はエネルギーになりやすい
ココナッツオイルは中鎖脂肪酸が豊富ですが、中鎖脂肪酸は長鎖脂肪酸よりも炭素の数が少ないため、エネルギーとして使われやすいとされています。
また中鎖脂肪酸は消化・吸収のために胆汁酸を必要とせずに、そのまま小腸の細胞に吸収され、門脈を経て直接肝臓へと運ばれるという性質があります。
つまり、中鎖脂肪酸は肝臓で素早く分解されるので、効率よくエネルギーとして利用されやすいのです。
(略)ココナッツオイルをとると、体はそれを体脂肪として保存せず、即座にそれをエネルギーに変えるのだ。だから、体脂肪に変換されることなく食べられる量は、ココナッツオイルのほうがほかの油よりもずっと多い。摂取する長鎖脂肪酸を中鎖脂肪酸に替えると、体重増加が抑えられ、脂肪沈着が減少することは、動物や人間を対象とした数々の研究で実証されている。(ブルース・ファイフ『ココナッツオイル健康法』三木直子 訳 p173)
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ココナッツオイルで糖質制限
この「中鎖脂肪酸(MCT)」のエネルギーになりやすい性質を、「糖質制限」と組み合わせていくことは、脳にも体にも良いと考えられます。
ちなみに当ブログで何度も取り上げているデイビッド・パールマター氏の『「いつものパン」があなたを殺す』』のなかでは、ココナッツオイルについて、以下のように書かれています。
話題のココナッツオイルは、このMCTの摂取源であり、またアルツハイマー病の処置に対する有益なアプローチだとされている。ケトン食療法によって、脳内のアミロイドが減少することがわかっており、さらに、海馬のグルタチオン(体内に存在し、脳を保護する抗酸化物質)が増加する。さらに、ミトコンドリアの増加をうながし、代謝効率を上昇させる。(デイビッド・パールマター『「いつものパン」があなたを殺す』 白澤卓二訳 p246』)
また、「ココナッツオイルは神経変性の症状を予防し、治す働きをサポートしてくれる。言うなれば、脳のスーパー燃料だ。それに、炎症を抑えてくれる。茶さじ一杯をそのまま飲んでもいいし、料理に用いてもいい。熱に強いので、高温で調理しても問題ない」とも述べられています。
もちろん、ココナッツオイルを摂ることが、うつ病を治したり、うつの症状の改善したりすることにダイレクトにつながるわけではないと思われます。
油の摂り方で大切なのは、まず、サラダ油に含まれるリノール酸やトランス脂肪酸を減らし、代わりにオメガ3脂肪酸をバランスよくに摂るようにすることです。
しかし、日頃の食事において、砂糖や精製デンプンなどの糖質を余計に摂らないようにし、代わりに効率の良いエネルギー源として、ココナッツオイルを利用することは、脳と心の健康を維持するのに役立つと思われます。
うつの症状にはエネルギー不足が関係していると言われることがありますが、実際、からだとこころのエネルギーが停滞すると、気持ちが落ち込みやすくなるので、私自身は、ココナッツオイルを心身の健康のために毎日食べています。
ちなみにココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸は、ブドウ糖の代わりとして、脳のエネルギー源になる特別な脂肪である「ケトン体」を作るのに役立つとも言われています(近年、糖尿病や認知症の改善に効果的だとされている「ケトン食療法」については、独自の判断で行わず、医師との相談のうえに行ってください)。
さらにココナッツオイルには、免疫力を高めて感染症を防ぐ働きがある「ラウリン酸」や細胞膜で活性酸素を除去し、過酸化脂質の生成を抑えて体を守るビタミンEなどがココナッツオイルには豊富に含まれていることも、特筆に値します。
以上、ココナッツオイルのうつを改善する効果について述べてきましたが、ココナッツオイルは糖質制限とうまく組み合わせると、脳と心の健康のために有効な食材だと思われます。
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