うつの改善に食事・運動・瞑想が大切である理由
当ブログではうつ病予防と、うつの症状を食事と栄養(主に腸内フローラ・腸内環境改善と糖質制限)で治すための方法について書いています(あくまでうつの症状をやわらげるためのひとつの手段です)。
今回はうつの改善に食事・運動・瞑想が大切である理由について書いていきたいと思います。
これまではうつの症状を少しでもやわらげるための方法として、腸内フローラの改善と、糖質制限、油の摂り方などを取りあげてきました。
しかし、うつを改善していくためには、食事を変えるだけではなく、運動や瞑想を行うことも必要になってくると、私自身は感じています。
以下、運動と瞑想が必要な理由について述べていきたいと思います。
うつの症状をやわらげるためには食事・運動・瞑想の三つが大切になってきます。
運動がうつを改善する理由
運動を行うことは心と身体や、自律神経のバランスを整えるために必要不可欠です。
適度な運動は身体と心に様々な良い効果を与えてくれることはよく知られています。実際、運動をほとんど行わない毎日を過ごしていると、脳の同じ部位だけを使うようになり、心身のバランスは崩れていってしまいますが、ジョギングなどの運動を無理しない程度に行うことは、脳の様々な部位を刺激し、認知機能を改善することにつながっていきます。
特にうつの症状は脳の炎症と深く関係していると考えられますが、運動には体内で起こっている炎症を抑える働きがあるとされています。
とはいっても、うつの状態にあるときは、エネルギー不足も関係しているため、運動をしようという気がなかなか起きないものです。
そのため、無理に激しい運動や長時間の運動を行う必要は無く、ウォーキングやスロージョギングなどの有酸素運動を1日に20~30分程度マイペースで行うだけで十分です。
からだを動かすのがどうしても億劫な場合は、ヨガや気功など、家の中でもできる、ゆっくりとした運動を行うのが効果的です。
また、慢性的な運動不足や、長時間のデスクワークは、ストレスを溜め込むだけではなく、腸内環境を悪化させたり、便秘の原因になったりするので、注意が必要です。
うつ病には運動療法が効果があるという報告があります。どのような仕組みでうつ病が改善されるかはまだはっきりとはわかっていませんが、うつ病と診断された患者に運動療法を行うことで抗うつ薬の投与量を減らすことができたという報告もあります。
また、運動によって、脳由来神経栄養因子(BDNF)が抗うつ剤を投与するよりも増加したという報告もあり、精神科の医師の中には患者と一緒に走ることでうつ病を治療する、いわば「ジョギングセラピー」を実践している人もいます。(久保田競 田中宏暁『仕事に効く、脳を鍛える、スロージョギング』 角川グループパブリッシング p118)
運動が脳の健康にいいと言われるのは、単に運動が脳への血流を促進して、細胞の成長と維持のための栄養を届けてくれることだけではない。最新の科学によると、こんな五つのメリットがある。
- 炎症を抑える
- インスリン感受性を高める
- 血糖コントロールを改善する
- 記憶中枢を大きくする
- BDNFの量を増やす
(デイヴィッド・パールマター/クリスティン・ロバーグ『「いつものパン」があなたを殺す』白澤卓二訳 p273)
瞑想がうつを改善する理由
普段から習慣として瞑想を行うことは、心のトレーニングとして最適です。
しかしここでいう瞑想とは、特定の宗教を信じることとは一切関係なく、心が現在の瞬間を感じるよう、トレーニングすることです。
具体的には、ストレスを感じてイライラしたり、過去の嫌な出来事を思い出し、気持ちが沈みこんだり、これからのことを想像して不安になったりしたら、思考が過去や未来へ向かっているのを一旦ストップして、意識を現在に戻してあげることです。
このことはすなわち、頭のなかの様々な雑念に囚われすぎないように、心の状態をニュートラルにするということです。
日常生活のなかでは、何かの思いがけない出来事によって、私たちの頭のなかが一つの考え方に支配されてしまうのは当然ですが、その時は私たちの意識は現在の瞬間から遠ざかってしまっています。
もちろん、その遠ざかった状態から現在の瞬間に意識を戻すために、いきなり頭の中を空っぽにするというのは難しいですし、頭のなかを空っぽにして、しばらく目の前の風景を眺めていても、気がつくと、(イヤなことが起こった時は特に)過去に起きた出来事に想いを巡らせてしまっているのが普通です。
ところが、瞑想のトレーニングを毎日行うと、少しずつ、過去に引きずられる時間が短くなり、代わりに現在の瞬間に意識が向くようになります。
そして、次第に環境に振り回されず、気持ちを安定させることが出来るようになってきます。もちろん、このことに個人差はありますが、それでも瞑想を始めてみることは、自分の心を成長させるためのトレーニングとして有効です。
瞑想をすると、感情に振り回されず、人にも自分にも優しくなれます。
思考や感情を取捨選択できるようになるので、外側の物や人間関係などもより心地いいものに整えたくなります。
それにより、不要になったモノや人間関係を手放し、よりシンプルに、より自分らしく生きられるようになるのです。
さらに瞑想を続けると、今やっていることに喜びを感じやすくなります。すべての日常体験の充実感が増し、幸福度も高まります。そうして満たされた状態が内面から輝く美しさや、魅力になるかもしれません。(吉田昌生『1分間瞑想法』p20)
瞑想の効果
- 血圧を下げる
- 急性および慢性の痛みをやわらげる
- 筋肉の反射時間が速くなる
- 横隔膜と内臓をリラックスさせる
- 呼吸の効率がよくなり、肺機能が増進する
- 不安やストレスを減少させる
- 強迫的な行動パターンを認識する力が増す
(ビクター・ダヴィッチ『瞑想トレーニングで人生が変わる』牧野・M・美枝 訳 p35)
ここまでうつの改善のために運動・瞑想が大切である理由について書いてきましたが、運動と瞑想は食事と組み合わせることでより効果を発揮します。