うつを腸内フローラ改善と糖質制限で治すための方法ブログ

うつの症状を食事と栄養(主に腸内フローラ改善と糖質制限、DHA)、運動と瞑想で治すための方法ブログです。

ストレス対策や緊張した時にオススメの「1分間マインドフルネス瞑想」

当ブログではうつ病の予防と、うつの症状を食事と栄養(主に腸内フローラ・腸内環境改善糖質制限)、運動瞑想で治すための方法について書いています(あくまでうつの症状をやわらげるためのひとつの手段です)。

 

前回の記事では、うつを改善していくために、まず、1分間マインドフルネス瞑想を続けてみることについて述べましたが、1分間瞑想はストレス対策や緊張した時に行うのもオススメです。

ストレスを感じてイライラしたり、過去の嫌な記憶が甦ってきてモヤモヤしたりしたら、呼吸が浅なったり、頭のあたりが重く感じられたりするなど、からだに何となく不快な症状がでてきます。

また、人前で発言をしなくてはならず緊張してしまうと、あがり症である場合、途端に動悸が激しくなっていきます。

そのようなシチュエーションに遭遇したら、その度に「1分間マインドフルネス瞑想」を行なってみてください。そのような習慣を心がけることは、心の健康を維持するために効果的だと考えられます。

この記事のポイント

  • ストレスを感じたり緊張したりしたら、その度に1分間マインドフルネス瞑想を行う。
  • 嫌な出来事に遭遇してイライラしたら、呼吸に意識を向け、観察しながらリラックスを心がける。
  • もし緊張してあがってしまったら、手のひらにある労宮というツボを押しながら、その感覚を感じることに集中して心の平静さを保つ。

 

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1分間、呼吸していることに気づくようにする

心の状態が何かの出来事をきっかけにして、波が立つように乱れたら、そのつど、呼吸に意識を向けるようにして、1分間、気息の出入りなど、呼吸の様子を観察しながら、呼吸を深めてリラックスしていきます。

もし、慌ただしい場所に身を置いていて、1分間の余裕もない場合は、30秒でも良いので、呼吸に意識を向けて、「自分は呼吸をしている」ことに気づき、リラックスを心がけます。

そのようにして、1分間、マインドフルネス瞑想を心がけることは、日常生活のなかで生じる困難に立ち向かうためのストレス対策になります。

1分間マインドフルネス瞑想

ストレス対策として、1分間、呼吸に気づくマインドフルネス瞑想を行う

緊張したら「労宮」というツボを押してみる

しかし、極度に緊張して、呼吸を深めるのに集中できないという場合は、手のひらにある不安や緊張感を解消できる「労宮」というツボを押しながら、その感覚を1分間、感じてみることをおすすめします。

労宮は手のひらの中指と薬指の骨の間にあります。具体的には手を軽く握った時に、薬指の先が当たる部分です。

この労宮の押し方を、『病気にならない全身の「ツボ」大地図帖』から引用しますので参考にしてみてください。

 

親指の腹をツボに垂直に当て、残りの指で手の甲を包むようにして押す。押されるほうの手は、丸まらないよう開いたままの形を保つ。手の甲に向けてまっすぐ押すのではなく、少しだけ手首の親指側に向けて力を加えるのがポイント。

 

緊張したら、おなじないのように、労宮を中心に親指の腹を時計回りの方向に回してマッサージ。(帯津良一・藤井直樹『病気にならない全身の「ツボ」大地図帖』p69

 

もし緊張したり、ストレスを感じたりしたら、そのつど「おなじないのように」この労宮を親指の腹で押して、時計回りに回すようにしてマッサージしてみてください。

また、イライラして呼吸が浅くなっていると感じたら、「ふ~っ」と息を吐きながら、労宮をマッサージし、そのあいだ、ツボが押されている手のひらの感覚を1分間、感じてみてください。

この方法はメンタルをできるだけ平静に保つためにオススメです。

 

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「1分間瞑想法」がうつの改善のためにおすすめなわけ

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今回は「1分間瞑想法」がうつの改善のためにおすすめなわけについて述べていきたいと思います。

前回の記事ではうつの改善のためにマインドフルネス瞑想が効果的な理由について書きました。ですが、うつの症状をやわらげるために初めて瞑想をしてみても、なかなか集中力が続かない、という方は多いと思います。

 

また、マインドフルネス瞑想を始めても、すぐに頭の中に雑念が浮かんできてしまうということも十分考えられます。

しかし、だからといって落胆することはありません。

なぜなら瞑想によってうつを改善していくために大切なのは、瞑想がうまくいくことではなく、心のトレーニングとしての瞑想を行う習慣をもつということだからです。

 

そのため、なかなか集中力が続かなかったり、すぐに雑念が浮かんで気が散ったりしても、失敗したと思って自分を責める必要はないのです。

 

また、瞑想を行うことで、無理にハッピーな気分になろうとする必要もありません。

このことに関して、例えばヨガ・瞑想講師の吉田昌生氏は『1分間瞑想法』のなかで以下のように述べています。

 

 瞑想と聞くと、多くの人が「『無』にならなければならない」と思うようですが、必ずしもそうではありません。

 マインドフルネスの目的は「気づく」ことです。

「気づき」が連続することで「無」になることはありますが、「無」になることが目的ではありません。雑念が湧いても、それに気づいて、再び集中すればいいのです。

 

 瞑想で大切なことは、次の2つです。

 

  1. 感覚に集中すること
  2. 集中に途切れたことに気づくこと

 

吉田昌生『1分間瞑想法』p54

 

 まず注意を向けること、そこから注意がそれたら戻すこと、この繰り返しによって、脳が鍛えられていきます。

 このトレーニングを繰り返すことで、脳が普段働いていないところに血液を送り込み、低下していた機能を取り戻すことができます。

 だから、雑念が湧いてもいいのです。

 雑念が湧いたことに「気づく」ことで、それが「負荷」になって、脳が鍛えられていると捉えてください。(吉田昌生『1分間瞑想法』p55

 

瞑想で大切なのは、出来事や物事に対して、自分の見方で判断したり評価したりせず、あるがままを受け入れることと、今起きていることに「気づく」ことです。

そしてそのことを繰り返し、毎日の習慣にしていくことです。

 

吉田昌生『1分間瞑想法』

まずは1分間瞑想をしてみる

瞑想を始めたばかりの頃は、いきなり10~20分間瞑想をしようとしてもなかなか続かないため、まずは1分間瞑想が続くようにしてみることをオススメします。

 

背筋を伸ばして座り、目を閉じたら、呼吸に意識を向けてみます。

そして、呼吸を行なっている間、まずは1分間、鼻の辺りに感じる気息の出入りを感じたり、呼気と吸気の感覚を観察したりしてみてください。またお腹のふくらみやちぢみの様子にも意識を向けてみましょう。

 

もし1分経たないうちに頭に雑念が浮かんでしまったら、雑念が浮かんだことに気づき、再び1分間、呼吸の観察を続けるようにしてください。

また、すぐに雑念が浮かんでしまっても、自分を責める必要は全くありません。

 

さらに、初めての方にオススメの瞑想法として、吉田昌生氏の『1分間瞑想法』から、「聴覚瞑想」を紹介したいと思います。

 

  1. 注意を音に向ける
  2. 近くの音に耳を澄ます
  3. 遠くの音の音に耳を澄ます
  4. 音と音の間にある静寂にも耳を澄ます

 

 コツは、今この瞬間の音にすべての注意を向けることです。そして、聞こえてくる音を判断せず、快不快に分けたり、分析したりしないで、あるのまま受信してみましょう。

 空気の振動のみを感じとり、鼓膜だけでなく、身体全体で音を感じとってみてください。(吉田昌生『1分間瞑想法』p60~61

 

まずは呼吸や音を感じる瞑想を1分間で良いので、続けてみてください。

また日常生活のなかのストレスで、イライラしたり、モヤモヤしたり、緊張したりしたら、その度に1分間瞑想を行う習慣をもつことも、ストレス対策や心の健康を保つためにおすすめです。

 

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瞑想がうつの改善に効果的なわけ

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今回は瞑想うつの改善に効果的な理由について述べていきたいと思います。

 

「瞑想」というと、どこか宗教的だと感じられ、つい敬遠したくなる方もいらっしゃるかもしれませんが、そういう方は、「瞑想」のことを「心のトレーニング」だと捉えていただきたいと思います。

 

また「瞑想」にも様々な種類がありますが、うつの症状をやわらげるための心のトレーニングとして最適だと私自身が考えるのは、近頃、テレビや雑誌などでも主にストレス対策として取り上げられている「マインドフルネス瞑想」です。

 

この「マインドフルネス瞑想」がなぜうつの症状に対して効果的なのでしょうか?

その理由は、過去の嫌な出来事を思い出して気持ちが沈みこんだり、これからの未来のことを想像して不安になったり、ぐるぐる回るようにひとつの考え方に囚われ続けたりした際に、マインドフルネス瞑想を行うことによって、思考が過去や未来へ向かっているのを一旦ストップし、意識を現在の瞬間に戻してくれるからです。

 

このことはすなわち、頭のなかでいろいろなことを考えるのを一度止めて、心の状態をニュートラルにし、今の瞬間に「気づく」ということにつながっていきます。

 

日常生活のなかでは、突然風が吹いたり、目の前を自動車が通り過ぎたり、誰かが向こうからやって来たり、といったように、様々な出来事が起こっていますが、頭の中で考え事ばかりをしていると、それらの出来事の瞬間は気づかないまま、去っていってしまいます。

 

また、何かの思いがけない出来事によってショックを受け、その過去の出来事をいつまでも頭の中で引きずってしまうと、私たちの意識は現在の瞬間から遠ざかってしまっています(ちなみに私自身も、「瞑想」を憶えるまでは、自分の頭のなかできちんと整理できるまで、いつまでも過去の嫌な出来事を引きずってしまう性格でした)。

瞑想は今の瞬間に気づくための心のトレーニング

しかし、例えば何かに失敗したり、叱られたりして、いつまでも自分にとってショックな出来事を引きずり続け、自分を責め続けてしまうと、その分、脳にダメージが蓄積していってしまうので、精神的に深く落ち込んでしまうことになる原因になります。

 

もちろん、そのような落ち込んだ状態から、いきなり意識を現在の瞬間に戻すことは至難の技です。

 

また、気持ちを切り替えようとして、目の前の風景を眺めていても、気がつくと、(嫌なことが起こった時は特に)過去に起きた出来事に、後悔の念など、様々な考えを巡らせてしまっているのは、当たり前のことです。

 

ですが、先程も述べたように、自分の意識が過去や未来に囚われている状態から、出来るだけ脱け出していくためには、瞑想を心のトレーニングとして行うことが効果的なのです。

 

これは私自身の体験でもありますが、瞑想のトレーニングを毎日少しでも行うようにすると、次第に、過去に引きずられる時間が短くなり、代わりに現在の瞬間に意識が向くようになります。

そして、少しずつ環境に振り回されず、気持ちを安定させることが出来るようになってきます。もちろん、このことに個人差はありますが、それでも瞑想を始めてみることは、自分の心を成長させるためのトレーニングとして有効なのだと考えられます。

 

瞑想は今の瞬間に気づくための心のトレーニング

瞑想は今の瞬間に気づくための心のトレーニング

マインドフルネス瞑想がうつの症状を予防するのに効果的な理由

しかし、もしうつ病を患っている方で、薬を処方されている方や、瞑想を始めることに不安を感じる方は、瞑想を始める前に必ず医師に相談してください。

 

また私はこの記事をマインドフルネス瞑想を始めてみる「きっかけ」にしていただきたいと思って書いていますが、もしマインドフルネス瞑想について深く知りたいと感じたならば、ご自身で本を読んだり、瞑想を教えてくれる信頼できそうな教室を探したりしてみてください。

 

ところで、精神科医の最上悠氏は『薬を使わずに「うつ」を治す本』のなかで、うつの症状が現れやすい思考パターンとして、五つの「自動思考(瞬間的に頭に浮かんだ考え)」を挙げています。

 

  • 抽象的な考え方
  • 自分勝手な決めつけ
  • 何でもひと括りにする
  • 感情でものごとを判断する
  • 失敗を過大に評価してしまう

(最上悠『薬を使わずに「うつ」を治す本』p81より)

 

たとえばストレスなどが生じたことをきっかけに、上記のような決めつけや思い込みを瞬間的にしてしまう傾向があり、その結果、うつの症状があらわれてくると最上氏は述べています。

 

また、精神科医野村総一郎氏も『うつ病を治す』のなかで、うつ病を患っている方には、「当然ながら悲観的で後ろ向き、悪い事態のみが視野に入る」「円環状に考えが回って、そこから抜け出せない」といった特有のパターンがあるとしています。

 

しかし、マインドフルネス瞑想においては、あるがままをあるがままに受け止めるという、感覚に対する気づきのトレーニングを行うことによって、自分の考えや判断を、一旦宙づり・ニュートラルにするため、最初から何でも決めつけたり、物事の白黒をはっきりつけようとしたりしてしまうような思考のクセを直すのにも、役立つのです。

 

まずは1分間で良いので、瞑想を行なってみてください。

 

今すぐ、ちょっとこれをやってみてください。

①目を閉じてリラックスします。

②自分の呼吸に意識を持ってきましょう。

③吸う・吐くの一回のサイクルを意識します。

(ビクター・ダヴィッチ『瞑想トレーニングで人生が変わる』牧野・M・美枝 訳 p56)

 

 親の不仲や病気、家庭内暴力、かつてのパートナーとのつらすぎた関係など、過去のつらい記憶のある人は、時間が経過しても、しばしばそれが蘇ってくるといいます。そして、その記憶に感情を苦しめられて、それがうつなどの要因となることがあります。

 そうした人におすすめしたいのが、マインドフルネスという方法です。これは瞑想法からきているもので、「意味づけをするのをやめて、事実を事実としてありのままに認識しようということが基礎にあります。

(中略)

 最初はどんどん雑念がわいてきますが、この五感によるトレーニングをしていくと、いやなことを思い出したとき、もちろん、ある程度は不快な気分になることがあるとしても、よけいな意味づけによって過剰にふくらみすぎたつらい感情や焦燥感などはわき起こりにくくなっていきます。

最上悠『「脳の炎症」を防げば、うつは治せる』 p168~169

 

瞑想の効果

  • 血圧を下げる
  • 急性および慢性の痛みをやわらげる
  • 筋肉の反射時間が速くなる
  • 横隔膜と内臓をリラックスさせる
  • 呼吸の効率がよくなり、肺機能が増進する
  • 不安やストレスを減少させる
  • 強迫的な行動パターンを認識する力が増す

(ビクター・ダヴィッチ『瞑想トレーニングで人生が変わる』牧野・M・美枝 訳 p35)

 

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すりえごまがうつの改善に役立つ理由

 

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今回はすりえごまがうつの改善に役立つ理由についてです。

当ブログでは食事によってうつをやわらげていくための方法のひとつとして、油の摂りか方を変えてみることをオススメしていますが、特に重要になってくるのは、オメガ3脂肪酸DHAEPA・α‐リノレン酸)を多く摂るようにすることだと、以前の記事で述べました。

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オメガ3脂肪酸DHAEPA・α‐リノレン酸)は、脳の炎症を抑えるなど、心の健康を維持するために様々な良い働きをしてくれます。

しかし、青魚に多く含まれているオメガ3脂肪酸は、普段の食事の中で十分な量を摂りにくいという側面があるため、サプリメント亜麻仁油・えごま油などを利用することが、オメガ3脂肪酸の不足を補うためには有効なのです。

それに加えて、「すりえごま」という食品も、オメガ3脂肪酸の不足を解消するのにオススメなのです。

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えごまにはα-リノレン酸が多く含まれていますが、このα‐リノレン酸は、体内で1~2割がDHAEPAに変換されます。

そのため、「すりえごま」を摂っていれば、オメガ3脂肪酸の不足を完全に解消できるというわけではありませんが、それでも深刻なオメガ3脂肪酸の不足を解消するのには役だってくれます。

しかも「すりえごま」には、「えごま」をそのまま食べるよりも消化に良いというメリットがあります。

ちなみに肝心のお味のほうは、それほど味にクセないため、亜麻仁油やえごま油が苦手だという方でも、サラダや和え物、惣菜などにこのすりえごまをサッと加えて摂ることができます。

またえごまにはα‐リノレン酸以外にも、タンパク質食物繊維カルシウムやマグネシウムカリウムなどのミネラル類ビタミンB群(B1、B2、ナイアシンやパントテン酸)などの栄養素が豊富に含まれています。

したがって、すりえごまを毎日の食生活に採り入れることは、うつの症状を少しでもやわらげていくためにおすすめなのです。

 

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腸・皮膚・筋肉が「心」を作っている理由

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今回は腸・皮膚・筋肉が「心」を作っている理由についてです。

うつの症状をやわらげていくために、当ブログでは食生活の改善に加えて、運動と瞑想を採り入れてみることを推奨していますが、この記事では「心とは何か」ということを考えるために、臨床発達心理士の山口創氏の『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』を取りあげてみたいと思います。

 

ところで「心とは何か」というのは非常に難しい問題ですが、「心」について私が日々感じていることは、「心」という目に見えない存在を扱う時に、「心とは~というものだ」と、安易に定義づけを行なわないほうが良いということです。

たとえば「心」は「脳」が生み出している、と、大学に所属する脳科学専門の研究者の方が、自分の研究を踏まえながら発言したとしても、一方で、「心」は「脳」ではなく本当は「腸」が生み出していると考えている研究者の方もいるわけで、どちらが正しいのかは、一概に言えないのです。また、脳でも腸でもなく、心とは「私」の外にあると考える学者もいます。

 

そのため、「心とは何か」という問題について考える時は、「心」がどこに由来しているのかを簡単に決めつけず、常に保留にしておく態度が大切だと思われます。

そのようなことを踏まえたうえで、山口創氏の『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』から、「心」について書かれているくだりを引用したいと思います。山口氏が「心」を考えるうえで重要視しているのは、腸・皮膚・筋肉です。

 

(略)私は心にとっての中枢は内臓、皮膚、そして筋肉という3つの臓器が握っていると思うのです。

 アリストテレスは心を知・情・胃から成ると考えました。内臓・皮膚・筋肉の3つの臓器は、それぞれ小さな脳のような役割を持っていて、知・情・意の三者と密接に関わっているのです。ですから、それらの臓器の持つ「小さな脳」としての役割を取り戻し活用することが、大きな脳(大脳)の暴走に歯止めをかけて本当にすこやかで人間らしい心と身体を手に入れるための秘訣ではないかと考えています。(山口創『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』p2~3

 

 特に「腸」と「皮膚」と「筋肉」に着目するのは次の理由からです。

 腸は「意欲」や「生きる力」といった「根源的情動」を生みだす元になっています。また、腸は人の潜在意識に信号を送り、勘を鋭くしたり性格にも関係しています。腸のはたらきが鈍ると、生きる意欲が湧いてこなくなり、抑うつや不安の強い性格にもなってきます。

 また、皮膚は五感の中でも「根源的な感覚」である触覚を生みだします。これは五感の中でも特に重要で、すべての感覚をいきいきと活性化させるための土台となる感覚なのです。そしてさらに感覚は情動のベースになりますから、五感が活性化されないと情動もまた機能不全におちいってしまうのです。

 さらに筋肉は、自分の意志で動かすことができる点で意志力と結びついています。また、人は手を動かしながら記憶したり、思いだしたりするように、知的なはたらきを助けています。しかし筋肉には自分の意志とは関係なく自動的に(無意識のうちに)動いている面もあり、そこは腸と同じように情動や情緒の土台となっています。(山口創『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』p3~4

 

腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す

「感じる」ことを大切にしてみる

 また山口創氏は『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』のなかで、「人間の心にとって、どのような側面が大事なのか」ということについて、「感じる」はたらきが大切だと述べています。

 

 私は人間にとって、言葉を話したり、論理的に考えるといったような知的なはたらきよりも、それを支えている情動や感覚といった「感じる」はたらきのほうがはるかに大切だと思います。なぜなら、「感じることがないと考えることすらできない」からです。

 先ほどのアリストテレスの知・情・意のはたらきに順序をつけるとすれば、人が動くためにはまず意欲や意志力が大切であり、次にその時々の気分や感覚に応じた動きがあり、最後に頭で考えて動く、という順序だと思います。

 たとえば、運動が健康にいいことは頭でわかっていても長続きしないのは、知的なはたらきである頭の機能が最も弱いからです。そして毎日の気分によって運動したりしなかったりするのは、気分や感覚のはたらきが頭のそれよりも強いからです。そして、たとえ気分がのらなくても運動できるのは、意志や意欲が最も強いからです。(山口創『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』p4

 

ここで山口氏が何を述べようとしているのかを、簡単に要約しますと、頭で考えるよりも、気分や感覚が先にあり、さらにその先、つまり最初に「意志」や「意志力」があるということなのです。

 

ちなみにここのくだりの「意志」や「意志力」とは、運動が続かないのは<意志>が弱いからだ、という時の「意志」や「意志力」ではありません。

そうではなく、一つ前に引用した箇所で「筋肉は、自分の意志で動かすことができる点で意志力と結びついています」と述べられているように、筋肉を動かそうとする「意志」「意志力」のことです。

そのため、「意志や意欲が最も強い」という理由から、「たとえ気分がのらなくても運動できる」のです。

 

しかし現代社会は、山口氏が「ところが脳化された社会では、逆の順序で重視されています。自分の行動の理由について、感情や感覚的な説明ではなく、それらを排除した方法をことさら重視しています」と述べている通り、「感じること」よりも「考えること」のほうが重視されている「脳化社会」なのであり、そのことが心の健康を維持するためには問題であるように感じられます。

もちろんここで日頃の生活において「考えること」は必要ないと、極端なことを述べようとしているのではありません。そうではなく、「感じること」に根差した身体感覚が失われつつあることが、「心の健康」を考えていくうえで、問題になってくるように思うのです。

 

「心とは何か」ということについて考えるのは非常に難しいということを、この記事の冒頭でも述べましたが、今回私が述べたかったのは、「心」という不可解な存在は、「考えること」だけではなく、むしろ「感じること」のほうを土台にしているのではないか、ということです。

したがって、身体感覚を取り戻すために大切になってくるのは、日頃から身体の感覚を意識的に感じられるような、ヨガや太極拳スロージョギングなどの(ゆっくりとした)運動を行うことなのだと考えられるのです。

 

 人間は脳を発達させたために、目の前の刺激がなくなっても思考やイメージでいつまでも当初の感情を持続させてしまうようになりました。すると筋肉で固めた身体は血流が滞り、栄養素が行き渡らなくなり、障害や病気のもとになるのです。
 そのような筋肉の緊張状態でいると、本来は意味のない刺激に出会っても、筋肉の緊張パターンに応じた情動が誘発されやすくなってしまいます。そしてそのような情動はやがて日常の情動の基底部分である気分を醸成するようになり、ずっと続くようになるのです。(山口創『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』p145

 

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身体を「ゆるめる」ことが、うつをやわらげるためには大切

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前回は正しい姿勢を維持することと、体の軸(芯)を意識することが、うつの症状を改善のために重要だということについて書きましたが、今回は身体の軸を意識しながらゆるめることが、うつをやわらげていくためには大切だということについて述べていきたいと思います。

身体の軸(芯)を意識することの重要性については、前回の記事を参照していただきたいと思いますが、

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実はうつの症状をやわらげていくためには、身体の芯を意識することに加えて、からだをゆるめることも必要になってきます。

からだをゆるめる」とは、大ざっぱにいえば、からだの筋肉の不要な緊張を解いて、リラックスするということです。

このあたりのことについては、山口創氏の『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』で詳しく述べられていますので、少し長いですが引用してみたいと思います。

 

 人間は脳を発達させたために、目の前の刺激がなくなっても思考やイメージでいつまでも当初の感情を持続させてしまうようになりました。すると筋肉で固めた身体は血流が滞り、栄養素が行き渡らなくなり、障害や病気のもとになるのです。

 そのような筋肉の緊張状態でいると、本来は意味のない刺激に出会っても、筋肉の緊張パターンに応じた情動が誘発されやすくなってしまいます。そしてそのような情動はやがて日常の情動の基底部分である気分を醸成するようになり、ずっと続くようになるのです。(山口創『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』p145

 

 筋肉は脊髄と連絡しており、筋肉から脊髄に送られた信号は、常に脳幹に入っています。したがって、筋肉に不必要な緊張があれば、当然その信号が脳幹に送られ、脳幹は興奮します。そして、その興奮が感情の脳である大脳辺縁系に伝達され、イライラしはじめます。

 さらに、その感情の波は、その上の知性の座である大脳新皮質に影響を及ぼして、適切な思考ができなくなってくるのです。したがって、脳と心をポジティブなリラックス状態にするためには、筋肉の緊張パターンをリセットして緊張を解消することが必要なのです。(山口創『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』p146

腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す

身体の軸(芯)を意識しながら「ゆるめる」

要するに、筋肉の余計な緊張を解消してリラックスするために、からだをゆるめていく必要があるのですが、しかしからだをゆるめるといっても、その際は、ぐにゃっとだらしなく全身の力が抜けたようになるのではなく、からだの軸(芯)を意識することはしっかりと維持していくことが大切になってきます。

 

ここでは具体的に、軸を意識しながら身体をゆるめる運動を、山口創氏の『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』の中からご紹介したいと思います。

まずひとつめは「足と体軸をゆるめる」エクササイズです。

 

  1. まず息をゆるく吐きながら上半身を倒す
  2. 手のひらを返して息を吸って上半身を起こす
  3. 息を吐きながら右に左に
  4. 身体をゆっくりと捻る

山口創『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』p200より

 

ふたつめは「体軸を中心に腕を回転させる」運動です。

これは「スワイショウ」と呼ばれている気功体操のうちのひとつです。

 

①まず左右の足を腰幅ぐらいに開き、つま先を正面に向け立ちます。膝は少し曲げ、ゆるめましょう。

身体の中心軸を左右に捻ることで、両手がそれにつられて回転するようにします。

②振った手を身体に巻きつけてみましょう。お腹から腰に腕が巻きつきます。

両腕はゆったりとだらんと垂らした状態で、体軸だけを振って腕を回転するにまかせるようにします。「でんでん太鼓」のように振るのがポイントです。

手や腕の当たる個所を気持ちよい強さで叩き、刺激してください。腰や背中下部のツボを刺激できます。

③左振りの場合は右足の踵、右振りの場合は左足の踵というように、逆足の踵が見えるまで、大きく振ってみましょう。

④最後は、体軸の回転を止めます。両手は勢いを失い、やがて自然体に戻っていきます。

(山口創『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』p201~202)

 

この「スワイショウ」の運動は、気分が落ち込んでいて、外に出てあまり身体を動かしたくない時でも、部屋の中でスペースをとらず簡単にできるため非常にオススメです。

また、長時間デスクワークを行なったり、スマホの操作をしたりすることで、身体が硬くなってしまった時に、このスワイショウをこまめに行うことも、からだをゆるめるのに非常に効果的です。しかも気分転換や心のリフレッシュにもなります。

 

なお、文章だけではイメージが湧かない方は、以下の方の動画を参考にしてください。


ひねりのスワイショウ(動作のみ)

 

以上、今回ご紹介したエクササイズは、どちらも身体の軸を意識ながら身体をゆるめるのに最適ですので、よろしければ、うつの症状を少しでもやわらげるために試してみてください。

 

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正しい姿勢を維持するには、体の軸(芯)を意識することが大切

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今回はうつの症状を改善していくために、正しい姿勢を維持することと、体の軸(芯)を意識することについて述べていきたいと思います。

 

うつの症状をやわらげていくためには、食事以外に、運動や瞑想、呼吸が大切になってきますが、その運動や瞑想、呼吸を行う際に、共通して重要になってくるのは「姿勢」です。

しかし「姿勢」が重要だといっても、ここでいう「姿勢」とは、「だらだらしてないで姿勢を正せ!」といったように、親や教師、上司などに強制(矯正)されて、緊張しながら姿勢を正すことではありません。

そのような姿勢ではなく、気の通り道が確保されるような自然な姿勢、自分にとって生きていることが気持ちよく感じられるような、自分からなりたいと思える正しい姿勢です。

また、普段からスッと背筋を伸ばすようにして姿勢を良くすることは、猫背を防いだり、からだに疲労を溜めにくくしたりしてくれます。

正しい姿勢を維持するには、身体の軸(芯)を意識する

そして、普段から正しい姿勢を維持していくには、身体の中心を意識することが大切であるように思います。

「身体の中心」という表現は漠然としていますが、言い換えれば、身体の「芯」、「軸」、「重心」のことです。

これでもまだはっきりとしない印象ですが、たとえば能楽師の安田登氏は、身体の中心を意識することを「コア意識」と呼んでいます。よく何事にも動じない人のことを「腹が据わっている」と表現することがありますが、その場合は腹部の丹田に重心がしっかりと位置していることを指します。

その重心とは重力の中心を意味しますが、身体の重心だけではなく、地球の重心(核コア)を意識することも大切になってきます。

身体の重心と地球の重心が一本の重力線でつながっているのを感じ、芯としての意識をしっかり持ち、それに従って動作することが「コア意識」を持つことなのです。

その「コア意識」としての芯をしっかり保つのには、身体の奥深くにある深層筋という、普段触ったり感じたりすることが出来ない筋肉の、特に大腰筋が関わっていると安田登氏は述べています。

そして大腰筋は簡単に鍛えられない分、しっかりと芯としてのコアをイメージする意識に支えられて、初めて使うことが可能になるとしています。

また、「コア意識」はどっしりと構えている時だけではなく、自転車に乗っている時や、スロージョギングを行なっている時などにも意識することが可能です。

この身体の芯(軸)を意識するということは、先程も述べましたがうつの予防と改善、さらに毎日の生活の中で余計に疲れないようにすることに関わってきますので、立っているあいだはもちろんのこと、歩いている時や、ジョギングをしている最中などにも意識するようにしてみてください。

 

姿勢を良くすることはセロトニンの活性化につながる

さらに姿勢をよくすることは、うつと関わりが深い神経伝達物質の「セロトニン」の分泌を促すことにつながる可能性があるといいます。

このことについて述べているのは、臨床発達心理士の山口創氏です。

山口氏は姿勢をよくするための筋肉として、抗重力筋である背筋と、骨盤にある大腰筋を挙げています。

特に抗重力筋については「重力に抗って「立つ」姿勢を維持するため」の筋肉であり、また、「抗重力筋とは、背すじをまっすぐに立てておくための首筋、背骨の周囲、下肢の筋肉と、目を開けておくためのまぶた、表情をつくるための顔面の筋肉等」だと述べています。

つまり背筋(せすじ)が良い立ち方をするには、この「抗重力筋」がしっかりとしていなければいけないのです。

そして、この抗重力筋とセロトニンの関係について、山口氏は以下のように述べています。

 

 セロトニンは、先にあげた抗重力筋に対し、運動神経のレベルを上げるはたらきをしています。ですから、セロトニンが活性化されているときには、背筋がピンとしていて、顔にもハリがあるのです。

 このように、セロトニンは抗重力筋にはたらきかけ、強化するはたらきをしています。一方でそれとは逆に、抗重力筋を刺激することでセロトニンが分泌される可能性があることもわかっています。(山口創『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』p163

 

ここまで、うつの症状を少しでもやわらげていくためには、正しい姿勢を維持すること、そして、そのためには体の軸(芯)を意識することが大切だということについて述べてきました。

実際、普段から猫背気味の方は、背筋を伸ばそうとしても、背筋(せすじ)の筋肉(抗重力筋)が割とすぐに疲れてしまって、長時間、正しい姿勢を維持することは難しいかもしれません。

しかしだからといって簡単にあきらめずに、呼吸が浅くなっていたり、からだに疲れが溜まってモヤモヤしていたりする時こそ、体の芯(軸)を意識して、気の通りが良くなるように、スッと背筋を伸ばすようにしてみてください。

 

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