うつを腸内フローラ改善と糖質制限で治すための方法ブログ

うつの症状を食事と栄養(主に腸内フローラ改善と糖質制限、DHA)、運動と瞑想で治すための方法ブログです。

腸・皮膚・筋肉が「心」を作っている理由

当ブログではうつ病の予防と、うつの症状を食事と栄養(主に腸内フローラ・腸内環境改善糖質制限)、運動と瞑想で治すための方法について書いています(あくまでうつの症状をやわらげるためのひとつの手段です)。

 

今回は腸・皮膚・筋肉が「心」を作っている理由についてです。

うつの症状をやわらげていくために、当ブログでは食生活の改善に加えて、運動と瞑想を採り入れてみることを推奨していますが、この記事では「心とは何か」ということを考えるために、臨床発達心理士の山口創氏の『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』を取りあげてみたいと思います。

 

ところで「心とは何か」というのは非常に難しい問題ですが、「心」について私が日々感じていることは、「心」という目に見えない存在を扱う時に、「心とは~というものだ」と、安易に定義づけを行なわないほうが良いということです。

たとえば「心」は「脳」が生み出している、と、大学に所属する脳科学専門の研究者の方が、自分の研究を踏まえながら発言したとしても、一方で、「心」は「脳」ではなく本当は「腸」が生み出していると考えている研究者の方もいるわけで、どちらが正しいのかは、一概に言えないのです。また、脳でも腸でもなく、心とは「私」の外にあると考える学者もいます。

 

そのため、「心とは何か」という問題について考える時は、「心」がどこに由来しているのかを簡単に決めつけず、常に保留にしておく態度が大切だと思われます。

そのようなことを踏まえたうえで、山口創氏の『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』から、「心」について書かれているくだりを引用したいと思います。山口氏が「心」を考えるうえで重要視しているのは、腸・皮膚・筋肉です。

 

(略)私は心にとっての中枢は内臓、皮膚、そして筋肉という3つの臓器が握っていると思うのです。

 アリストテレスは心を知・情・胃から成ると考えました。内臓・皮膚・筋肉の3つの臓器は、それぞれ小さな脳のような役割を持っていて、知・情・意の三者と密接に関わっているのです。ですから、それらの臓器の持つ「小さな脳」としての役割を取り戻し活用することが、大きな脳(大脳)の暴走に歯止めをかけて本当にすこやかで人間らしい心と身体を手に入れるための秘訣ではないかと考えています。(山口創『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』p2~3

 

 特に「腸」と「皮膚」と「筋肉」に着目するのは次の理由からです。

 腸は「意欲」や「生きる力」といった「根源的情動」を生みだす元になっています。また、腸は人の潜在意識に信号を送り、勘を鋭くしたり性格にも関係しています。腸のはたらきが鈍ると、生きる意欲が湧いてこなくなり、抑うつや不安の強い性格にもなってきます。

 また、皮膚は五感の中でも「根源的な感覚」である触覚を生みだします。これは五感の中でも特に重要で、すべての感覚をいきいきと活性化させるための土台となる感覚なのです。そしてさらに感覚は情動のベースになりますから、五感が活性化されないと情動もまた機能不全におちいってしまうのです。

 さらに筋肉は、自分の意志で動かすことができる点で意志力と結びついています。また、人は手を動かしながら記憶したり、思いだしたりするように、知的なはたらきを助けています。しかし筋肉には自分の意志とは関係なく自動的に(無意識のうちに)動いている面もあり、そこは腸と同じように情動や情緒の土台となっています。(山口創『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』p3~4

 

腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す

「感じる」ことを大切にしてみる

 また山口創氏は『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』のなかで、「人間の心にとって、どのような側面が大事なのか」ということについて、「感じる」はたらきが大切だと述べています。

 

 私は人間にとって、言葉を話したり、論理的に考えるといったような知的なはたらきよりも、それを支えている情動や感覚といった「感じる」はたらきのほうがはるかに大切だと思います。なぜなら、「感じることがないと考えることすらできない」からです。

 先ほどのアリストテレスの知・情・意のはたらきに順序をつけるとすれば、人が動くためにはまず意欲や意志力が大切であり、次にその時々の気分や感覚に応じた動きがあり、最後に頭で考えて動く、という順序だと思います。

 たとえば、運動が健康にいいことは頭でわかっていても長続きしないのは、知的なはたらきである頭の機能が最も弱いからです。そして毎日の気分によって運動したりしなかったりするのは、気分や感覚のはたらきが頭のそれよりも強いからです。そして、たとえ気分がのらなくても運動できるのは、意志や意欲が最も強いからです。(山口創『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』p4

 

ここで山口氏が何を述べようとしているのかを、簡単に要約しますと、頭で考えるよりも、気分や感覚が先にあり、さらにその先、つまり最初に「意志」や「意志力」があるということなのです。

 

ちなみにここのくだりの「意志」や「意志力」とは、運動が続かないのは<意志>が弱いからだ、という時の「意志」や「意志力」ではありません。

そうではなく、一つ前に引用した箇所で「筋肉は、自分の意志で動かすことができる点で意志力と結びついています」と述べられているように、筋肉を動かそうとする「意志」「意志力」のことです。

そのため、「意志や意欲が最も強い」という理由から、「たとえ気分がのらなくても運動できる」のです。

 

しかし現代社会は、山口氏が「ところが脳化された社会では、逆の順序で重視されています。自分の行動の理由について、感情や感覚的な説明ではなく、それらを排除した方法をことさら重視しています」と述べている通り、「感じること」よりも「考えること」のほうが重視されている「脳化社会」なのであり、そのことが心の健康を維持するためには問題であるように感じられます。

もちろんここで日頃の生活において「考えること」は必要ないと、極端なことを述べようとしているのではありません。そうではなく、「感じること」に根差した身体感覚が失われつつあることが、「心の健康」を考えていくうえで、問題になってくるように思うのです。

 

「心とは何か」ということについて考えるのは非常に難しいということを、この記事の冒頭でも述べましたが、今回私が述べたかったのは、「心」という不可解な存在は、「考えること」だけではなく、むしろ「感じること」のほうを土台にしているのではないか、ということです。

したがって、身体感覚を取り戻すために大切になってくるのは、日頃から身体の感覚を意識的に感じられるような、ヨガや太極拳スロージョギングなどの(ゆっくりとした)運動を行うことなのだと考えられるのです。

 

 人間は脳を発達させたために、目の前の刺激がなくなっても思考やイメージでいつまでも当初の感情を持続させてしまうようになりました。すると筋肉で固めた身体は血流が滞り、栄養素が行き渡らなくなり、障害や病気のもとになるのです。
 そのような筋肉の緊張状態でいると、本来は意味のない刺激に出会っても、筋肉の緊張パターンに応じた情動が誘発されやすくなってしまいます。そしてそのような情動はやがて日常の情動の基底部分である気分を醸成するようになり、ずっと続くようになるのです。(山口創『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』p145

 

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身体を「ゆるめる」ことが、うつをやわらげるためには大切

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前回は正しい姿勢を維持することと、体の軸(芯)を意識することが、うつの症状を改善のために重要だということについて書きましたが、今回は身体の軸を意識しながらゆるめることが、うつをやわらげていくためには大切だということについて述べていきたいと思います。

身体の軸(芯)を意識することの重要性については、前回の記事を参照していただきたいと思いますが、

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実はうつの症状をやわらげていくためには、身体の芯を意識することに加えて、からだをゆるめることも必要になってきます。

からだをゆるめる」とは、大ざっぱにいえば、からだの筋肉の不要な緊張を解いて、リラックスするということです。

このあたりのことについては、山口創氏の『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』で詳しく述べられていますので、少し長いですが引用してみたいと思います。

 

 人間は脳を発達させたために、目の前の刺激がなくなっても思考やイメージでいつまでも当初の感情を持続させてしまうようになりました。すると筋肉で固めた身体は血流が滞り、栄養素が行き渡らなくなり、障害や病気のもとになるのです。

 そのような筋肉の緊張状態でいると、本来は意味のない刺激に出会っても、筋肉の緊張パターンに応じた情動が誘発されやすくなってしまいます。そしてそのような情動はやがて日常の情動の基底部分である気分を醸成するようになり、ずっと続くようになるのです。(山口創『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』p145

 

 筋肉は脊髄と連絡しており、筋肉から脊髄に送られた信号は、常に脳幹に入っています。したがって、筋肉に不必要な緊張があれば、当然その信号が脳幹に送られ、脳幹は興奮します。そして、その興奮が感情の脳である大脳辺縁系に伝達され、イライラしはじめます。

 さらに、その感情の波は、その上の知性の座である大脳新皮質に影響を及ぼして、適切な思考ができなくなってくるのです。したがって、脳と心をポジティブなリラックス状態にするためには、筋肉の緊張パターンをリセットして緊張を解消することが必要なのです。(山口創『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』p146

腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す

身体の軸(芯)を意識しながら「ゆるめる」

要するに、筋肉の余計な緊張を解消してリラックスするために、からだをゆるめていく必要があるのですが、しかしからだをゆるめるといっても、その際は、ぐにゃっとだらしなく全身の力が抜けたようになるのではなく、からだの軸(芯)を意識することはしっかりと維持していくことが大切になってきます。

 

ここでは具体的に、軸を意識しながら身体をゆるめる運動を、山口創氏の『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』の中からご紹介したいと思います。

まずひとつめは「足と体軸をゆるめる」エクササイズです。

 

  1. まず息をゆるく吐きながら上半身を倒す
  2. 手のひらを返して息を吸って上半身を起こす
  3. 息を吐きながら右に左に
  4. 身体をゆっくりと捻る

山口創『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』p200より

 

ふたつめは「体軸を中心に腕を回転させる」運動です。

これは「スワイショウ」と呼ばれている気功体操のうちのひとつです。

 

①まず左右の足を腰幅ぐらいに開き、つま先を正面に向け立ちます。膝は少し曲げ、ゆるめましょう。

身体の中心軸を左右に捻ることで、両手がそれにつられて回転するようにします。

②振った手を身体に巻きつけてみましょう。お腹から腰に腕が巻きつきます。

両腕はゆったりとだらんと垂らした状態で、体軸だけを振って腕を回転するにまかせるようにします。「でんでん太鼓」のように振るのがポイントです。

手や腕の当たる個所を気持ちよい強さで叩き、刺激してください。腰や背中下部のツボを刺激できます。

③左振りの場合は右足の踵、右振りの場合は左足の踵というように、逆足の踵が見えるまで、大きく振ってみましょう。

④最後は、体軸の回転を止めます。両手は勢いを失い、やがて自然体に戻っていきます。

(山口創『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』p201~202)

 

この「スワイショウ」の運動は、気分が落ち込んでいて、外に出てあまり身体を動かしたくない時でも、部屋の中でスペースをとらず簡単にできるため非常にオススメです。

また、長時間デスクワークを行なったり、スマホの操作をしたりすることで、身体が硬くなってしまった時に、このスワイショウをこまめに行うことも、からだをゆるめるのに非常に効果的です。しかも気分転換や心のリフレッシュにもなります。

 

なお、文章だけではイメージが湧かない方は、以下の方の動画を参考にしてください。


ひねりのスワイショウ(動作のみ)

 

以上、今回ご紹介したエクササイズは、どちらも身体の軸を意識ながら身体をゆるめるのに最適ですので、よろしければ、うつの症状を少しでもやわらげるために試してみてください。

 

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正しい姿勢を維持するには、体の軸(芯)を意識することが大切

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今回はうつの症状を改善していくために、正しい姿勢を維持することと、体の軸(芯)を意識することについて述べていきたいと思います。

 

うつの症状をやわらげていくためには、食事以外に、運動や瞑想、呼吸が大切になってきますが、その運動や瞑想、呼吸を行う際に、共通して重要になってくるのは「姿勢」です。

しかし「姿勢」が重要だといっても、ここでいう「姿勢」とは、「だらだらしてないで姿勢を正せ!」といったように、親や教師、上司などに強制(矯正)されて、緊張しながら姿勢を正すことではありません。

そのような姿勢ではなく、気の通り道が確保されるような自然な姿勢、自分にとって生きていることが気持ちよく感じられるような、自分からなりたいと思える正しい姿勢です。

また、普段からスッと背筋を伸ばすようにして姿勢を良くすることは、猫背を防いだり、からだに疲労を溜めにくくしたりしてくれます。

正しい姿勢を維持するには、身体の軸(芯)を意識する

そして、普段から正しい姿勢を維持していくには、身体の中心を意識することが大切であるように思います。

「身体の中心」という表現は漠然としていますが、言い換えれば、身体の「芯」、「軸」、「重心」のことです。

これでもまだはっきりとしない印象ですが、たとえば能楽師の安田登氏は、身体の中心を意識することを「コア意識」と呼んでいます。よく何事にも動じない人のことを「腹が据わっている」と表現することがありますが、その場合は腹部の丹田に重心がしっかりと位置していることを指します。

その重心とは重力の中心を意味しますが、身体の重心だけではなく、地球の重心(核コア)を意識することも大切になってきます。

身体の重心と地球の重心が一本の重力線でつながっているのを感じ、芯としての意識をしっかり持ち、それに従って動作することが「コア意識」を持つことなのです。

その「コア意識」としての芯をしっかり保つのには、身体の奥深くにある深層筋という、普段触ったり感じたりすることが出来ない筋肉の、特に大腰筋が関わっていると安田登氏は述べています。

そして大腰筋は簡単に鍛えられない分、しっかりと芯としてのコアをイメージする意識に支えられて、初めて使うことが可能になるとしています。

また、「コア意識」はどっしりと構えている時だけではなく、自転車に乗っている時や、スロージョギングを行なっている時などにも意識することが可能です。

この身体の芯(軸)を意識するということは、先程も述べましたがうつの予防と改善、さらに毎日の生活の中で余計に疲れないようにすることに関わってきますので、立っているあいだはもちろんのこと、歩いている時や、ジョギングをしている最中などにも意識するようにしてみてください。

 

姿勢を良くすることはセロトニンの活性化につながる

さらに姿勢をよくすることは、うつと関わりが深い神経伝達物質の「セロトニン」の分泌を促すことにつながる可能性があるといいます。

このことについて述べているのは、臨床発達心理士の山口創氏です。

山口氏は姿勢をよくするための筋肉として、抗重力筋である背筋と、骨盤にある大腰筋を挙げています。

特に抗重力筋については「重力に抗って「立つ」姿勢を維持するため」の筋肉であり、また、「抗重力筋とは、背すじをまっすぐに立てておくための首筋、背骨の周囲、下肢の筋肉と、目を開けておくためのまぶた、表情をつくるための顔面の筋肉等」だと述べています。

つまり背筋(せすじ)が良い立ち方をするには、この「抗重力筋」がしっかりとしていなければいけないのです。

そして、この抗重力筋とセロトニンの関係について、山口氏は以下のように述べています。

 

 セロトニンは、先にあげた抗重力筋に対し、運動神経のレベルを上げるはたらきをしています。ですから、セロトニンが活性化されているときには、背筋がピンとしていて、顔にもハリがあるのです。

 このように、セロトニンは抗重力筋にはたらきかけ、強化するはたらきをしています。一方でそれとは逆に、抗重力筋を刺激することでセロトニンが分泌される可能性があることもわかっています。(山口創『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』p163

 

ここまで、うつの症状を少しでもやわらげていくためには、正しい姿勢を維持すること、そして、そのためには体の軸(芯)を意識することが大切だということについて述べてきました。

実際、普段から猫背気味の方は、背筋を伸ばそうとしても、背筋(せすじ)の筋肉(抗重力筋)が割とすぐに疲れてしまって、長時間、正しい姿勢を維持することは難しいかもしれません。

しかしだからといって簡単にあきらめずに、呼吸が浅くなっていたり、からだに疲れが溜まってモヤモヤしていたりする時こそ、体の芯(軸)を意識して、気の通りが良くなるように、スッと背筋を伸ばすようにしてみてください。

 

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タンパク質・アミノ酸の補給におすすめの食品・食材は?

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前回の記事ではタンパク質(アミノ酸)の効果的な摂り方について述べてみましたが、今回は手軽にタンパク質・アミノ酸の補給ができる食品・食材を少しだけ紹介してみたいと思います。

ちなみにタンパク質は、

 

  1. 消化酵素アミノ酸にまで分解するのが大変
  2. 食材に含まれているタンパク質は、全てが吸収されるわけではない。

 

という理由から、体内できちんとアミノ酸として吸収されるのが難しいということは、前回の記事で述べました。

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そのことを踏まえたうえで、タンパク質を補給すると同時に、うつの症状の改善にも役立つ栄養素が含まれている食品・食材をピックアップしてみたいと思います。

今回、タンパク質を効率よく摂るためにおすすめしたい食品・食材は、

 

  • 鶏卵
  • 納豆
  • 鯖(さば)

 

の三つです。

 

鶏卵

鶏卵

一つ目は鶏卵です。

鶏卵は食品中のタンパク質にアミノ酸がどれくらいバランスよく含まれているかを示す値である「プロテインスコア」が全卵の場合、100となっているため、アミノ酸の補給には最適の食材だといえます。

また鶏卵の卵黄にはセロトニンを作るアミノ酸である「トリプトファン」も多く含まれています。

そのため鶏卵はアミノ酸の補給の目的で積極的に摂っていきたい食材だといえます。

しかし鶏卵を生で食べる場合には、注意点があります。

それは生の白身には「アビジン」というタンパク質が含まれていることです。

この「アビジン」は「ビオチン」というビタミンB群の一種の吸収を阻害してしまうため、生卵を大量に食べると、ビオチン欠乏症が起こり、皮膚や髪の健康を損なってしまう可能性が生じてしまいます。

したがって皮膚の健康や髪の抜け毛などを気にしている方は、鶏卵を食べる際、白身はきちんと焼いて食べることをオススメします。

また、鶏卵を食べる際、フライパンで白身だけ焼いて、黄身のほうは生や半生で食べるというのも、オススメの方法です。

ちなみに卵というと、コレステロールが気になる方もいらっしゃると思いますが、食品から摂取するコレステロールに関しては、極端に摂り過ぎない限り、それほど悪者扱いする必要はありません。

 

 アマニ油や魚油を多く含むエサで育った鶏の肉や卵はオメガ3が豊富だ。鶏卵は安価に入手できる、「スーパーブレインフード」なのである。

 コレステロールについても、マイナス面ばかりが強調されるが、じつは健康、とりわけ脳と心の健康に欠かせない栄養素である。コレステロールは、脳に大量に存在し、神経細胞の膜を適度な硬さに保っているのだ。(生田哲『食べ物を変えれば脳が変わる』p71

 

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納豆

納豆

次にオススメしたい食材は「畑の肉」とも呼ばれている大豆を発酵させた納豆です。

納豆はメチオニンなどの含硫アミノ酸が少ないため、プロテインスコアは50程度と低いのですが、それ以外の体内では合成できない必須アミノ酸がバランスよく含まれています(ちなみに納豆の含硫アミノ酸の不足は納豆ご飯にすることで補えるとされています)。

また納豆は発酵食品であるという利点があるため、大豆をそのまま調理するよりも、タンパク質の吸収率は高くなっています。

ではなぜ発酵食品になるとタンパク質の吸収率が高くなるのかといえば、発酵食品においては、微生物の酵素の力によって、あらかじめタンパク質が分解されており、他の食品よりもタンパク質がアミノ酸として吸収されやすくなっているからです。

 

それともうひとつ、納豆を食べることの利点は、腸内環境の改善に役立つということです。

当ブログではうつの症状をやわらげるためには、腸内細菌のバランスを整えることや腸内環境を改善することが大切だと述べていますが、日本の伝統的な発酵食ともいえる納豆には、腸内環境を改善するために効果を発揮する納豆菌や食物繊維が含まれています。

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鯖(さば)

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最後にオススメしたいのは鯖(サバ)です。

鯖をはじめとした魚類はプロテインスコアが高いのですが、それに加えて鯖をはじめとした青魚にはDHAEPAが多く含まれています。

DHAEPAは脳と心の健康を維持するために必要不可欠な必須脂肪酸ですが、日頃の食生活では不足しがちになります。

そのため、タンパク質の補充に加えて、DHAEPAまでも摂ることができる鯖は、うつの症状をやわらげていくためには効果的な食材だといえます。

しかし実際に鯖を調理するのが大変だという方は、スーパーなどで手軽に買える、さばの水煮や味噌煮などの缶詰から摂るようにするのも良いと思います。

また、酢にはアミノ酸が多く含まれているため、しめ鯖を食べるのもお勧めです。

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以上、タンパク質・アミノ酸の補給におすすめの食品・食材について書いてきましたが、今回の記事でオススメした鶏卵・納豆、鯖(サバ)缶などは、コンビニエンスストアやスーパーでも手軽に安く買える食品・食材ですので、タンパク質の不足や栄養不足が気になる方は、よろしければ手に取ってみてください。

 

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タンパク質・アミノ酸の効果的な摂り方とは?

当ブログではうつ病の予防と、うつの症状を食事と栄養(主に腸内フローラ・腸内環境改善糖質制限)、運動と瞑想で治すための方法について書いています(あくまでうつの症状をやわらげるためのひとつの手段です)。

 

前回の記事ではタンパク質・アミノ酸の不足と「うつ」との関係について述べましたが、今回はタンパク質・アミノ酸の効果的な摂り方についてです。

 

うつの症状を左右する神経伝達物質の材料はタンパク質であるため、ダイエットをしている最中などにタンパク質(アミノ酸)が不足してしまうことには要注意なのだと前回の記事では書きましたが、かといって闇雲に肉や魚を食べてタンパク質を摂れば良いというわけではありません。

実はタンパク質をきちんと摂ってアミノ酸を補充するということは、意外と難しいのです。

その理由については主に二つが挙げられます。

 

1、タンパク質はアミノ酸にまで分解するのが大変

2、食材に含まれているタンパク質は、全てが吸収されるわけではない。

 

まず最初にタンパク質についてかなり大ざっぱに説明しますが、「タンパク質」とは20種類の L-アミノ酸がペプチド結合してできた化合物のことであり、一般的にアミノ酸の数が50まではポリペプチド、50以上のアミノ酸の連なりはタンパク質と呼ばれているのです。

そのタンパク質をアミノ酸レベルにまで分解するのが主に腸から分泌される消化酵素なのですが、消化酵素が全てのタンパク質をきちんとアミノ酸に分解してくれるかといったら、そうではないのです。

このあたりのことについては、酵素栄養学の第一人者である鶴見隆史氏が『現代版 食物養生法』のなかで述べていますので、引用したいと思います。

 

 食物で摂ったタンパク質は大分子なので、そのままではまったく吸収されませんが、アミノ酸は小(低)分子であり腸から吸収される大きさです。そして、タンパク質がアミノ酸にすんなり消化されればまったく問題は起こりません。

 今までの栄養学ではタンパク質は腸管ではほとんどアミノ酸になると信じられてきました。ところが栄養学が発達するにつれ(実は最近ですが)、そうではなく、アミノ酸(柱一本)になる率は一〇%以内(場合によっては数%)という場合があることがわかってきました。そして、大きな分子のタンパク質や極小分子のアミノ酸の途中の段階で終わってしまうのです。

 この途中の段階を窒素残留物(ポリペプチド)といいます。この窒素残留物が、実は人体に大変有害な物質であるため、この段階で消化がストップすることが問題となるのです。(鶴見隆史『現代版 食物養生法』p198~199

 

そして、タンパク質が消化不良によって窒素残留物として、腸内にとどまると、腸内の悪玉菌を増やしたり、毒素を発生させたりするとされています。

そのため、肉などからタンパク質をたくさん摂り過ぎることは、アミノ酸を補充するどころか、アミノ酸を吸収できないまま、腸内環境を悪化させてしまい、体調不良や病気やアレルギーを引き起こす原因になる可能性が生じてきてしまうのです。

したがって、ここではまず、タンパク質を摂っても全てがアミノ酸として吸収されるわけではないということを、初めてお知りになられた方は憶えておいていただきたいと思います。

現代版 食物養生法

タンパク質・アミノ酸を効果的に摂るには?

ではタンパク質をアミノ酸として効果的に摂るにはどうすれば良いのでしょうか?

まず一つ目は「プロテインスコア」を意識することが挙げられます。

プロテインスコアとは、食品中のタンパク質にアミノ酸がどれくらいバランスよく含まれているかを示す値のことです。

この「プロテインスコアを考えた食べ合わせ」を栄養療法の専門家である溝口徹氏はタンパク質の効果的な摂り方として勧めています。

 

 たとえば、食品中のたんぱく質アミノ酸がどれほどバランスよく含まれているかを示す値に「プロテインスコア」という基準がある。卵を100とすると、肉や魚は80~90と比較的高いのだが、肉や魚は火を通して食べることが多い。その結果、調理方法によって栄養素が減ってしまうことがある。

 欲をいえば、肉や魚類は可能なかぎり〝生〟がいいということになる。たとえば、牛肉などはウェルダンに焼いてしまうのではなく、レアやミディアムレアくらいに焼いて食べると、たんぱく質の摂取量は高くなる。たんぱく質の吸収から考えると、魚も刺身で食べるほうが効率よく摂ることができるというわけだ。(「うつ」は食べ物が原因だった!』p189~190

 

「冷や奴にはネギとショウガが欠かせない」という人は、そこにぜひカツオ節を加えてみてほしい。カツオ節はプロテインスコア90の食材。植物性のたんぱく質である豆腐のアミノ酸バランスの欠点を補う働きをするというわけだ。

 納豆を食べる際にも、「ネギとカラシ」が基本という向きもあるかもしれないが、生卵をまぜて食べるほうが、バランスとしてはいい食べ合わせということになる。

 卵も火を通すとたんぱく質の構造が変わってしまう食材だが、たとえば、卵丼を食べるときも、溶いて火を通す卵を1個にして、もう1個は生卵としてうえにのせるといったことでも、摂取できる栄養素の量は変わってくる。(「うつ」は食べ物が原因だった!』p192

 

このように「プロテインスコアを考えた食べ合わせ」を考えてみることは、アミノ酸をバランスよくを効果的に摂るためのひとつの手段だといえます。

(ちなみに、溝口氏も注意していますが、ここではプロテインスコアのために肉や魚は何でも生で食べろといっているわけではありません)。

「うつ」は食べ物が原因だった!

発酵食品を利用してアミノ酸を豊富に摂る

もうひとつ、タンパク質・アミノ酸の効果的な摂り方としてオススメしたいのは、発酵食品を利用することです。

発酵食品においては、微生物が分泌する酵素のちからによって、食べる前からタンパク質が分解されています。そのため、発酵食品は他の食品と比べると栄養素の消化吸収率が良いのです。

先程引用した鶴見隆史氏の『現代版 食物養生法』のなかにも、

 

 発酵のすばらしさはタンパクが多くなること、そしてそのタンパクが限りなくアミノ酸に近くなることがあげられます。発酵食品として有名なものは、高野豆腐、おから、生湯葉、しっかり発酵させた納豆(ワラ納豆)、豆腐、生味噌又は味噌汁、がんもどき、油揚げ(厚揚げ)、すべての植物の乾物、豆ふよう、キナコ(特にキナコゲン)、かつおぶし、魚の干物等があり、これらがきわめて質の良いタンパク質となります。(鶴見隆史『現代版 食物養生法』p202~203

 

と、あります。

ちなみに酵素はパイナップルなどの果物にも食物酵素として含まれていますので、パイナップルで肉をやわらかくするといった工夫などで、食物酵素をうまく利用することも、タンパク質を消化・分解しやすくすることにつながります。

よく噛んで食べることも大切

最後にもうひとつ重要になってくるのは、肉や魚を食べる際に、よく噛んで食べるということです。タンパク質を含めた栄養素の消化吸収率を上げるには、まず食べ物を口のなかでよく噛んで、なるべく胃腸(の消化酵素)に負担をかけないようにすることが大切なのです。

 

以上、ここまでタンパク質・アミノ酸の効果的な摂り方について述べてきましたが、この記事でご紹介したタンパク質の摂り方のポイントは、

  1. プロテインスコア
  2. 食物酵素や発酵食品の利用
  3. よく噛んで食べる

の三つです。

 

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アミノ酸・タンパク質の不足と「うつ」との関係とは?

当ブログではうつ病の予防と、うつの症状を食事と栄養(主に腸内フローラ・腸内環境改善糖質制限)、運動と瞑想で治すための方法について書いています(あくまでうつの症状をやわらげるためのひとつの手段です)。

 

今回はアミノ酸・タンパク質の不足と「うつ」との関係についてです。

アミノ酸はタンパク質を構成していることで有名ですが、そのアミノ酸神経伝達物質の材料でもあるため、うつの症状を改善していくためには、必要不可欠な存在です。

 

また、筋肉や骨、皮膚、髪、爪、歯、そしてセロトニンをはじめとしたホルモンなども、おもな材料になっているのはタンパク質であるため、こころとからだの健康を維持するためには、タンパク質をきちんと摂っていかなければなりません(ちなみにセロトニンは「トリプトファン」というアミノ酸から作られます)。

 

ではアミノ酸と、うつなどの心の病には、どのような関係があるのでしょうか?

このことに関しては薬学博士の生田哲氏の『心の病は食事で治す』のなかの記述が参考になります。

 

 わたしたちの発生源であるアミノ酸が正常レベルを下回れば、たいへん困ったことになる。こういうことだ。まず、アミノ酸そのものが伝達物質になる。つぎに、アミノ酸は短い工程で伝達物質のアミンに変身する。そして、アミノ酸がいくつかつながれば伝達物質のペプチドができる。これらの伝達物質は、わたしたちに快感、痛みの緩和、免疫系の強化、老化への抵抗力を与えてくれる。

 したがって、アミノ酸は、うつ病、不安障害、記憶障害など多くの心の病の治療に活用できる。あなたが、脳内でのアミノ酸のはたらきを深く知れば知るほど、その不足が脳内物質のインバランスを引き起こすことを納得されるにちがいない。(生田哲『心の病は食事で治す』p106

 

 

また生田氏はアミノ酸の働きとして以下を挙げています。

 

アミノ酸は、細胞、組織、臓器をつくることで、生体を構築している。

アミノ酸は、人体のすべての箇所を成長させ、傷んだ箇所を修復するのを助ける。

アミノ酸は、食物の消化に必要な酵素だけでなく、伝達物質やホルモンの生産に欠かせない酵素の構成成分となっている。

アミノ酸は、脳内の伝達物質、内分泌系の伝達物質であるホルモン、免疫系の伝達物であるサイトカインとしてはたらき、脳、内分泌系、免疫系をつないでいる。

ブドウ糖の原料になる糖類が不足したときなど、必要に応じて、アミノ酸ブドウ糖に変換されてエネルギーとして利用され、ブドウ糖がつながったグリコーゲンとなって肝臓に貯蔵される。(生田哲『心の病は食事で治す』p109

 

心の病は食事で治す

タンパク質の不足に要注意

このように生田氏が提示するアミノ酸の様々な働きには驚かされるわけですが、懸念すべきは知らないうちにアミノ酸の供給源であるタンパク質が不足してしまっている事態です。実はタンパク質は体内に余分に蓄えておくことができないといいます。

 

このタンパク質の不足と、「うつ」の関係について述べているのは、栄養療法専門家の溝口徹氏です。

 

 身体のなかでは、日々たんぱく質がさかんに使われている。同じ生活パターンを送っていれば、身体で使われるたんぱく質の量もほぼ一定になる。食事から摂るたんぱく質の量もほぼ一定になる。食事から摂るたんぱく質の量が少なくても、使われる量は変わらないのだ。前述したように、蓄えられているたんぱく質はないわけだから、不足した分は、筋肉や血液のなかのたんぱく質で補填されることになる。

 たんぱく質の少ない食事が続けば、身体のたんぱく質がどんどん使われ、体内でたんぱく質不足が起きる。そうして脳や組織への供給源が枯渇していくのである。(「うつ」は食べ物が原因だった!』p153

 

身体のつくり変えに必要なたんぱく質は、常に供給されていなければならない。たんぱく質は脂質や糖質と異なり、〝食いだめ〟ができないのである。ダイエットをするなら、そのときこそ「肉を食べる」のが正しい考え方である。

 なにより、うつ症状を左右する神経伝達物質の材料はたんぱく質。心身ともに健康を保つためには、たんぱく質が欠かせないのである。(「うつ」は食べ物が原因だった!』p85

 

「うつ」は食べ物が原因だった!

 

うつの症状を改善するにはタンパク質をきちんと摂ることが大切

溝口氏がこのように述べている通り、心配なのはダイエットのために一日のタンパク質の摂取量が減ってしまうことです。

 

そのため、ダイエットをしており、タンパク質(アミノ酸)が多く含まれた肉や魚、卵、大豆、海苔などを近頃あまり摂っていないという方は、要注意なのです。

しかしタンパク質が不足しているからといって、焼き肉などを大量に食べ過ぎることは勧められません(ちなみに肉類の摂り過ぎは腸内環境を悪化させます)。

大切なのは、うつの症状を予防したり改善したりするために、不足しないよう毎日の食生活においてバランスよくアミノ酸を摂っていくことです。

 

ところがアミノ酸を効率よく摂るのは、実はなかなか難しいため、アミノ酸を効率良く摂ることができる「スーパーフード」と呼ばれる食材(サジーユーグレナ玄米リブレフラワー、ノニなど)を利用するのも、おすすめの手段です。

 

 脂肪と異なり、アミノ酸は身体に蓄えることができないので、ほぼ毎日、タンパク質を摂らねばならない。その量だが(略)成人は体重一キログラムあたり毎日一グラムのタンパク質を摂らねばならないことが判明している。これは、成人女性なら一日に約五〇グラム、成人男性なら約六〇グラムに相当する。

 必須アミノ酸を脳に供給するには、これらをふんだんに含んだ良質なタンパク質を摂るに限る。(生田哲『食べ物を変えれば脳が変わる』p80

 

 必須アミノ酸を摂るベストの方法は、肉類を食べることだが、エネルギーの摂りすぎはできるだけ抑えたい。それには、脂肪分の少ないタンパク質を選ぶのがよい。低脂肪タンパク質の代表は、魚介類、鶏肉、シチメンチョウ、脂の少ない赤身の肉(ブタ、ウシ、ヒツジ)などである。

 

 ここで注意すべき点は、動物由来のすべてのタンパク質食品には、アラキドン酸が多いことである。アラキドン酸はインスリンの効きめが落ちるインスリン抵抗性の引き金となる炎症を起こす。しかも食品に含まれるアラキドン酸は、タンパク質食品の脂肪分に比例して増えるから、脂肪分の少ないタンパク質を摂取するのがポイントとなる。(生田哲『食べ物を変えれば脳が変わる』p81

 

 

なお、タンパク質・アミノ酸の効果的な摂り方については以下の記事を参考になさってください。

utukaizen.hatenablog.com

 

utukaizen.hatenablog.com

うつの改善にゆっくりとした「運動」が必要な理由

当ブログではうつ病の予防と、うつの症状を食事と栄養(主に腸内フローラ・腸内環境改善糖質制限)、運動と瞑想で治すための方法について書いています(あくまでうつの症状をやわらげるためのひとつの手段です)。

 

今回はうつの改善にゆっくりとした運動が必要不可欠な理由についてです。当ブログでは主に食事によってうつの症状を改善する方法について書いていますが、うつの症状を少しでもやわらげていくためには、食事だけではなく、「運動」や心のトレーニングとしての瞑想も必要になってきます。

 

特に運動には、脳を活性化したり、自律神経のバランスを整えたり、からだの炎症を抑えたりする働きがあるため、日頃の生活のなかで適度な運動を行う習慣を持つことは、うつの改善に大きな役割を果たしてくれると考えられます。

 

実際、適度な運動は身体と心に様々な良い効果を与えてくれることはよく知られています。しかし運動をほとんど行わない毎日を過ごしていると、考え事が多いなど頭ばかりを使い、さらに脳の同じ部位だけを酷使するようになり、心身のバランスは崩れていってしまいます。

ところがウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を無理しない程度に行うことは、脳の様々な部位を刺激し、認知機能を改善したり、新陳代謝を活性化したりすることにつながっていきます。

 

このあたりの運動の重要性について、精神科医の最上悠氏は以下のように述べています。

 

 食生活と並び、うつの改善に大きな役割を果たすのが運動です。

 第一に、運動は脳を効率よく活性化します。筋肉は脳からの指令によって動くわけですが、反対に筋肉も感覚器として脳を刺激する働きをしています。さらに、筋肉が動くと、血流やホルモンの分泌もよくなりますから、神経細胞の働きや新陳代謝も活発になるのです。

 また、エクササイズによって肥満を解消していくと、慢性炎症を改善する効果も得られます。脂肪細胞が減ると、体内の炎症伝令物質が減ります。それによって、脳や体で炎症が起こりにくい体質になるのです。(最上悠『「脳の炎症」を防げば、うつは治せる』 p117

 

運動は心と身体のバランスを整える

さらに運動にはからだの歪みを矯正し、全身や心と体のバランスを整えるというメリットもあります。また自律神経のバランスも整うため、免疫力の向上やストレスの解消にもつながっていきます。

 

ちなみに私自身も毎日屋内でパソコンばかりをやって頭だけを使っていると、次第に心身のバランスが崩れて、元気がなくなってしまうのですが、そうなる前にあえて運動をするようにして、心と身体の調子を整えています。

とはいっても、うつの状態にあるときは、エネルギー不足も関係しているため、運動をしようという気がなかなか起きないものです。

 

うつの改善のためには有酸素運動をマイペースで行うことが大切

そのため、無理に激しい運動や長時間の運動を行う必要は無く、ウォーキングやジョギング、自転車をこぐなどの有酸素運動を1日に20~30分程度、ゆっくりと自分のペースで行うだけで十分です。

また、運動は行えば行うほど、気力が湧いてくるという性質がありますので、最初は運動を始める気力がなくても、一度スタートしてしまうと、不思議なことにだんだんやる気が起きてきます。

 

したがって、運動はまず始めてみることが大切になってきます。

そして、うつを改善するための生活習慣として、自分が気に入った運動をずっと続けていくことも重要です。

 

しかしうつの症状をやわらげるためには積極的に運動を行うことが大切だといっても、やはり無理をしすぎるのはよくありませんし、張り切り過ぎて燃え尽きてしまうのも避けるべきです。

 

どのくらいの時間運動を行うのかは、やはり自分の体調と相談する必要があります(もちろん、この記事の内容はからだを起こすのもつらい方に、無理に運動を勧めているわけではありません。運動を行うのはある程度の気力がある時で良いのです)。

 

ちなみに、無理せず自分のペースで行える運動としては「スロージョギング」があります。このスロージョギングはうつをやわらげるための有酸素運動としてオススメです。

 

詳しくは以下の記事をご参照ください。

utukaizen.hatenablog.com

ヨガや気功などゆっくりとした運動もオススメ

もし、からだを動かすのがどうしても億劫な場合は、ヨガや気功、太極拳など、家の中ででも出来る、ゆっくりとした運動を行うのが効果的です。

その場合、ヨガや気功、太極拳のマスターに最初からなろうとする必要はなく、本や動画などで紹介されている動きをまねてみるだけで十分です。

 

また、慢性的な運動不足や、長時間のデスクワークは、ストレスを溜め込むだけではなく、腸内環境を悪化させたり、便秘の原因になったりするので、注意が必要です。

反対に適度な運動やゆっくりとした運動は腸内フローラや腸の健康を維持するために有効です。

 

ゆっくりとした運動

 

ここまで、うつの改善に運動が必要不可欠な理由について述べてきましたが、以下は、運動のうつを改善する効果について書かれた文章の引用です。よろしければ参考になさってください。

 

 うつ病には運動療法が効果があるという報告があります。どのような仕組みでうつ病が改善されるかはまだはっきりとはわかっていませんが、うつ病と診断された患者に運動療法を行うことで抗うつ薬の投与量を減らすことができたという報告もあります。

 また、運動によって、脳由来神経栄養因子(BDNF)が抗うつ剤を投与するよりも増加したという報告もあり、精神科の医師の中には患者と一緒に走ることでうつ病を治療する、いわば「ジョギングセラピー」を実践している人もいます。(久保田競 田中宏暁『仕事に効く、脳を鍛える、スロージョギング』 角川グループパブリッシング p118

 

 運動が脳の健康にいいと言われるのは、単に運動が脳への血流を促進して、細胞の成長と維持のための栄養を届けてくれることだけではない。最新の科学によると、こんな五つのメリットがある。

  1. 炎症を抑える
  2. インスリン感受性を高める
  3. 血糖コントロールを改善する
  4. 記憶中枢を大きくする
  5. BDNFの量を増やす   (デイヴィッド・パールマター/クリスティン・ロバーグ『「いつものパン」があなたを殺す』白澤卓二訳 p273

 

 一日中知的労働をして大脳だけを酷使しながら生活している現代人のライフスタイルというのは、人間の生き方として歪んでいるように思うのです。その果てに脳が疲れ果て、うつ病になってしまうライフスタイルは、本来の人間のあるべき生活とかけ離れて、脳が休息を要求しているように思えてなりません。

 否、脳は休息よりも身体からの適度な刺激を渇望しているようにも思えてきます。ですから、うつ病の予防のためにも治療のためにも、身体を使ったアプローチが最も理にかなっているように思うのです。その身体とは、「小さな脳」である腸、皮膚、筋肉に「弱い」「ゆっくりとした」刺激を与えることだと思うのです。(山口創『腸・皮膚・筋肉が心の不調を治す』p207

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うつの症状をやわらげていくためには、食事・運動・瞑想の三つが大切です。

 

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