うつの時は「やりたいことだけをやる」
当ブログではうつ病の予防と、うつの症状を食事と栄養(主に腸内フローラ・腸内環境改善と糖質制限)、運動と瞑想で治すための方法について書いています(あくまでうつの症状をやわらげるためのひとつの手段です)。
今回は「やりたいことだけをやる」ことと「うつ」との関係性について書いてみたいと思います。
うつの時は、やりたくないことを無理してやる必要はないように思います。
そのため、大切なのは「やりたいことだけをやる」ことなのです。
しかしこの記事で私が述べようとしている「やりたいことだけをやる」というのは、「やりたいことだけをやりなさい!」「やりたいことを見つけなさい」といったような、自己啓発本のたぐいによく書かれていることではありません。
なぜなら、「やりたいことだけをやりなさい!」「やりたいことを見つけなさい」というのは、「~したい(want to)」ではなく、「~しなければならない(have to)」のニュアンスが漂っていると、どことなく感じるからです。
また「やりたいこと」を見つけることが出来たら、それに越したことはないのですが、「やりたいことだけをやりなさい!」というメッセージを本やブログなどから受け取ったとしても、本当に「やりたいこと」は、実際のところ、簡単に見つかるものではありません。
つまり、「やりたいこと」とは、自分が好きだから、他人に言われてなくても勝手にやってしまうことなのであって、無理に頑張ったり努力したりする必要はないのです。
また、「~したい」に「~しなければならない」が入ってきてはいけないのです。
たとえば、この「~しなければならない(have to)」と「~したい(want to)」について、ヨガ・瞑想講師の吉田昌生氏は『1分間瞑想法』のなかで以下のように書かれています。
HAVE TO「するべき」「ねばならない」という思いが出てきたとき、その人の心の中は、義務感、恐怖や不安に支配されています。
人は、不安や恐怖に支配されると、それを抑え込むのにエネルギーを消費し、行動を起こすためのエネルギーが弱くなります。
また義務感、やらされ感で何かをする場合も、エネルギーを相当消費します。自分が意義を感じないものを、無理にやっても、やる気が湧いてきません。
好きでないこと、興味がないことは内側からエネルギー(情熱)が湧いてこないので、努力が必要です。がんばらないといけません。(吉田昌生『1分間瞑想法』p204~205)
一方で、WANT TO「したい」と思ったとき、心の中にイメージされているのは、得たい結果です。潜在意識は、イメージしたいことを引き寄せます。得たい結果をイメージしているので、それが引き寄せられるのです。
自分がやりたいことをやるとき、エネルギーが内側から湧いてきます。自分が好きなこと、心からやりたいことは、その行為自体に喜びを感じます。
好きなことは努力がいりません。子供がゲームをするように自然とやっています。好きなことは誰に頼まれるでもなく継続的に学び続けます。
だから、うまくいきやすいし、続きやすいのです。(吉田昌生『1分間瞑想法』p205)
「やりたいことが見つからない」とうつの関係
また、精神科医の宮島賢也氏は、『自分の「うつ」を治した精神科医の方法』のなかで、「やりたいことが見つからない」や「目標がない」ことと、うつとの関係性を指摘しています。
僕から見ると、今の日本人は、やりたくないことをやるのに慣れている人が多いように思えます。うつの患者さんたちに日々接していて、つくづくそう感じるのです。言い換えると、「自分が本当は何がしたいか」について鈍感になっているように思えます。(宮島賢也『自分の「うつ」を治した精神科医の方法』p82)
うつになった原因を探っていくと、「やりたいことが見つからない」とか、「やりたいことができていない」という問題が背景に浮かび上がってきます。これは「目標がない」とか、「何を目標にしてよいかわからない」という悩みでもあります。つまり、目標を失ってしまっている状態です。
自分のやりたいことを見つけることは、私たち現代を生きる人にとって、大きなテーマになっているように思えます。
現代では「自分探し」とか「自己実現」という言葉の流行に見られるように、「自分にもきっと適職がある」と考える人が増えているように思います。
しかし、この考え方に立ったとき、適した職業が見つかればいいのですが、見つからない場合は、心がだんだんと苦しくなってきます。(宮島賢也『自分の「うつ」を治した精神科医の方法』p84~85)
仕事に関しては、たとえ好きな仕事であっても、義務感でおこなえば、心が苦しくなることがあります。だから、好きで飛び込んだ業界の仕事に就くことができ、がんばって結果を出しつづけたけれど、その果てにうつになってしまう人もいます。
しかし、目標がしっかりと定まっているとき、うつにはなりません。(宮島賢也『自分の「うつ」を治した精神科医の方法』p86)
いつも義務感に縛られて「~しなければならない」と思って真面目に行動するより、常に自分が「~したい」と思って楽しみながら行動する方が、気力やエネルギーが湧いてくるのは確かであるように思います。
そのため、やりたいこと(want to)が見つかれば何よりですが、冒頭でも述べたように、やりたいことを必ず見つけなければならない(have to)、というわけではないように思われます。
「やりたいこと」を「やらなくちゃ」と思う必要はない
また、頑張り過ぎたり、働き過ぎたりしたことが原因でうつになった場合は、エネルギー不足によって心身が疲れ果てていることが関係していると思われますので、無理に頑張ろうとする必要はありませんし、「やりたいこと」を「やらなくちゃ」と思う必要もないように感じます。
ちなみに私自身は、「やりたいことをやっている」と自分で思っていたのに、いつのまにか自分のなかでやりたいことが「やらなければならないこと」に変わってしまっていることで、気づいたら燃え尽きて無気力になってしまっていたことがあります。
そのため、気力が湧かない時は無理をせず、まずはゆっくりと休養をとって、疲れ切っているからだとこころを回復させることが大切であるように感じます。
もし「何もしたくない」「やりたくない」と思ったら、無理に何かする必要はないのです。
そして、少しずつ元気を取り戻せたら、自分が好きなことや、自分がしたいことだけを、無理をしない程度に行ってみる……もし自分が「うつ」だと感じて、何もやる気が起きなくなったら、まずはそれだけで良いのではないでしょうか。